診療方針
乳がんは、今や女性のがんのうち罹患率が第一位であり、年々増加しています。乳がんの診断方法、治療の進歩には目覚しいものがあります。
当院でも急増する乳がんに専門性の高い治療を行うために、日本乳癌学会の認定施設として乳腺専門医を含めた3名のスタッフで治療を行っています。
病気・治療・検査
検査・診断
乳がんの検査はマンモグラフィと乳房超音波検査にて行っておりますが、今回、新病院の稼動する2019年9月下旬から乳房を3次元撮影できる
トモシンセシス技術を搭載したマンモグラフィ装置が導入され、より精度の高い検査ができるようになります。
乳がんの診断では通常、細胞診や組織採取(針生検)を行っています。診断が困難な場合にはより多くの組織採取ができるマンモトーム生検を行う場合があります。
また新病院では乳がんの広がりに対する検査としてMRI、転移の検査としてCTを行いますが、いずれの装置も1台から2台に増加いたします。
また進行がんや転移が疑われる患者さんではPET-CTを行う事ができます。
手術
近年は乳房温存手術と乳房全切除術が主流となっています。腋窩リンパ節に対しては当院では現在まで行ってきた蛍光色素法を用いた数個のリンパ節のみを摘出する方法で
センチネルリンパ節生検を行っており、腋窩郭清を省略する症例も増加しています。
センチネルリンパ節や乳腺断端は手術中に病理専門医による迅速病理検査を行い、がんの取り残しがないか、確認しています。
乳房再建
乳がんの範囲が広い場合には乳腺全切除術を行いますが、失った乳房をもう一度作る乳房再建手術も増加しています。当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の乳房再建実施施設認定を受けており、形成外科と連携して乳がん手術と同時に乳房再建手術が可能となっております。
薬物療法
進行乳がんの場合や、がんが大きいけれども温存術を希望される場合には手術前に化学療法(抗がん剤)を行います。
手術後には、乳がんのタイプや腋窩リンパ節転移の数などの病理結果をふまえて、一人ひとりに合う治療を化学療法、内分泌療法、分子標的治療薬から選択します。
腫瘍内科、専門・認定看護師、薬剤師との連携のもとに乳がんの化学療法は化学療法センターで行っております。
放射線治療
乳房温存手術を行った方や一部の乳房全切除術の患者さんでは、術後の再発を予防するために放射線治療が必要となってきます。
また転移した乳がんでも症状緩和の目的で放射線治療を行う場合がありますが、当院では神戸低侵襲がん治療センターと連携して放射線治療を行っています。
神戸低侵襲がん医療センターについて
緩和医療
乳がんの再発で、痛みや苦痛を伴うような症状、息苦しさなどを認める場合には、乳腺外科の治療と同時に緩和医療内科とも連携して、
患者さんの苦痛と感じる症状を軽くすることを目指します。
当院のブレストチームのスタッフ
乳がん治療は多岐にわたる選択肢があり、また、多くの分野の方がかかわる領域でもあります。多くの職種で構成する専門のスタッフが役割を果たしながら、心をひとつにして患者さんが安心して治療を受けられるようにサポートしていきます。
診断の時には必要にあわせて専門・認定看護師が同席し、治療に向けて準備ができるようにサポートします。他にも外来・病棟・手術室・化学療法室の看護師と各専門職が、患者さんをサポートさせていただきます。患者サポートセンターの相談窓口で治療を受けながら困ったこと等に対応させていただきます。