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甲南医療センター 緩和ケア内科の “ミッション (Mission)”

われわれは、以下のことをミッションとして、診療を行っています。

地域の医療・介護・その他周辺の
リソースと“共同”し
神戸市東部の
住民が“安心”して療養できる環境を
“質の高いレベル”で提供していく

緩和ケアについて

緩和ケアとは、重い病を抱える患者さんやその家族ひとりひとりのからだや心などに起こる様々な苦痛(つらさ)を和らげて、より豊かな生活を送ることができるように支えるケアです。

 世界保健機関(WHO)による緩和ケアの定義(2002年)

“緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチである”

“対象患者”について

現在、緩和ケア内科の診療は、緩和ケア病棟における入院診療を基本としております。緩和ケア自体は、対象とする疾患を制限するものではありませんが、現時点では、緩和ケア病棟への入院対象患者は、悪性腫瘍ならびに後天性免疫不全症候群に罹患している患者さんとなります。
(平成30年厚生労働省告示第44号:基本診療料の施設基準等の一部を改正する件「緩和ケア病棟入院料の施設基準等」より抜粋)

われわれは、緩和ケア病棟は“療養の場の選択肢のひとつ”と考えており、基本的には患者さん御本人が当院緩和ケア病棟での療養を希望されていることが入院の前提とさせていただいております。

 

実際の診療内容

緩和ケア内科/緩和ケア病棟では、下記に示すような専門的なケア(専門的緩和ケア)を提供していきます。

1)症状緩和

痛み(疼痛)や息切れ(呼吸困難)などの体の症状のために、自宅での療養に困難を感じる場合は少なくありません。また、療養生活の中で、気持ちの落ち込み(抑うつ)や不安などの心の症状によるつらさが影響を与えることもあります。このような様々な症状に対して、お薬での対応はもちろん、看護ケア・リハビリテーション・心理士によるサポートなど多角的なアプローチで、つらさを和らげるようにサポートを行っていきます。

 

2)在宅療養調整

住み慣れたおうちでの療養を円滑に、かつ安心して行っていくためには、在宅の介護・医療の資源(リソース)を上手に利用することがポイントになります。お体の状況やご家庭の状況、環境面のことなどを考慮するとともに、ご本人・ご家族の思いを踏まえた療養体制を準備するために、地域の診療所・クリニック、訪問看護、様々な介護サービスなどの紹介・連携を病棟専属の社会福祉士(ソーシャルワーカー)を中心にサポートします。経済的な問題や社会生活上の問題に関しても、療養にかかわる各種の助成制度の案内などを通じて対応いたします。

 

3)合併症治療

ご自宅での療養中、肺炎などの突発的な合併症に見舞われることもあります。そのような合併症に対しても、患者さんのお考えに応じて、可能な範囲での治療対応を行っていきます。

 

4)介護疲労軽減のためのレスパイト

患者さんが住みなれたご自宅での療養を支えるご家族が肉体的・精神的な疲労を感じることがあっても不思議ではありません。患者さんのその後の自宅療養継続をサポートする意味でも、介護疲労の軽減のための短期的(1-2週間)入院の受け入れも行っています。

 

5)終末期ケア

病気の進行に伴い、さまざまなつらさ(症状)が影響を及ぼすことが多くなってくることがまれではありません。また、大切な方とのお別れが近くなっているご家族もまた、それに伴うつらさが伴うことが容易に想像できます。そのような状況において、患者さんの価値観・生き方を尊重し、倫理的な配慮を行いながら、可能な限りの症状緩和を行うとともに、ご家族へのケア・サポートを行い、生きている“今”を大切に過ごせるようサポートしていきます。