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消化管疾患

食道がん

食道がん診療ガイドラインに準拠した形で、消化器内科、腫瘍・血液内科や放射線科と連携して治療方針を決定しています。抗がん剤と放射線を組み合わせる治療も有力な治療方法となり得ますので、患者さんの状態に応じた安全で的確な治療方針を患者さんやそのご家族と共に選択するようにしています。手術では、食道にできた腫瘍とともに、(頸部~)胸部~腹部にわたって転移する可能性があるリンパ節の切除(郭清)を行う必要があり、胸、お腹双方の操作を必要とします。胸部操作は胸腔鏡を用いて実施しており、右側の肋骨の間に5~6箇所のごく小さな傷跡が残るだけです。また、腹部操作にも腹腔鏡を補助的に使用しており、患者さんの負担を少しでも軽減できるように配慮しています。時間のかかる大きな手術であることに間違いはありませんが、一般的な術後経過としましてはおよそ6-7日程度で食事が取れるようになり、14日程度で退院が可能となります。

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当科では手術療法を中心に診療にあたります。消化器内科、腫瘍・血液内科、放射線科とも連携し集学的治療も積極的に取り入れています。食道手術は他の消化管手術と比較しより侵襲度の高い手術でありますが、当院では日本食道学会認定の食道外科専門医を中心としたチームで術前、手術および術後管理を行います。周術期においては麻酔科、集中治療の専門医の協力の下、安全性の確保に努めています。

 

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアは、食道と胃の境目にある横隔膜の筋肉が緩んで胃が大きく胸の中にはまり込んでしまう病気です。症状が強い場合には腹腔鏡下で手術を行っています。緩すぎず締めすぎない、そのようなバランスを上手く達成するにはやはり食道外科専門医の判断が肝要になってきます。

 

粘膜下腫瘍

消化管間質腫瘍(GIST)などに代表される胃粘膜下腫瘍に対する手術では、消化器内科および病理診断科による確実かつ正確な診断により手術が必要と判断されましたら、消化器外科と消化器内科が腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を協力して行い、患者さんの身体的負担を最小限に抑えた治療を提供しています。

 

胃がん

胃がんに対する手術を中心として診療を行っています。胃がん治療ガイドラインに準拠した形で院内治療方針を作成し、それを基本として術式を検討しています。早期胃がんや進行胃がんを含めて、現在ではほとんどの患者さんに低侵襲な腹腔鏡下胃切除術を、日本内視鏡外科学会技術認定医を中心として積極的に行っています。近年増加傾向にある食道胃接合部領域のがんに対しても、腹腔鏡や胸腔鏡下での手術を選択しています。2024年よりロボット支援下胃切除術を導入しております。

一方、高度進行がんに対しては、消化器内科や腫瘍・血液内科との綿密な連携の下で、必要に応じて他臓器合併切除などの拡大手術を行い、化学療法を併用した集学的治療を行っております。以上のように胃領域の手術方法も最近では多岐に選択肢が広がっています。お一人お一人の患者さんに適切な先端技術での手術治療を安全に提供させていただくことが私たちの使命であると考えています。

 

大腸がん

大腸がんは結腸がんと直腸がんに分けられます。胃がん手術と同様、ほとんどの患者さんに低侵襲な腹腔鏡下大腸切除術を日本内視鏡外科学会技術認定医を中心として積極的に行っています。一般的に結腸がんに比べて直腸がんのほうが手術が難しく、再発率が高い傾向にありますが、根治性および排便機能・排尿機能・性機能といった様々な機能の温存を重視した手術を行っております。2023年よりロボット支援下直腸手術を開始しており、精緻な手術操作が可能となっています。さらに、根治切除不能大腸がん、再発進行大腸がんに対しても患者さんお一人お一人の病態に合った治療法を消化器内科、腫瘍・血液内科、放射線科と患者さんと一緒になって相談し、抗がん剤治療や放射線治療などを組み合わせた集学的な治療を行っております。また、直腸がん手術では、永久または一時的に人工肛門造設術を行う場合があります。人工肛門に関しては専門看護師(WOCナース)が患者さんの生活支援をきめ細く行っていますのでお気軽にご相談ください。

 

肝胆膵疾患

当院では肝胆膵外科高度技能専門医を中心に肝・胆・膵領域を専門とする経験豊かなチームでの診療を行っています。適応のある症例に対しては患者さんの身体的負担を抑え、回復の早い低侵襲な腹腔鏡下での肝・胆・膵切除術を積極的に行い、また、他臓器合併切除、血管合併切除・血行再建などを必要とするような高難度手術まで様々な手術を行っており、チーム一丸となって質の高い診療を提供できるよう日々努力しています。また、消化器内科、腫瘍・血液内科、放射線科、病理診断科との連携を密に行い、治療成績の向上を目指した取り組みを続けています。

 

肝細胞がん

肝細胞がんに対する治療は手術、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を中心とし、病状によっては分子標的薬による薬物療法、放射線療法などを組み合わせた集学的な治療を行います。患者さんお一人お一人の病態に合った治療法を消化器外科、消化器内科、放射線科、腫瘍・血液内科、患者さんとともに相談して診療にあたっています。当院の外科手術は安全・確実な手技・手法で様々な肝切除術を行い、低浸襲な腹腔鏡手術から高難度手術まで幅広く対応しております。

 

膵臓がん、胆道がん(胆嚢がん、胆管がん、乳頭部がん)

胆膵疾患においても胆道学会指導医および膵臓学会指導医を中心に豊富な経験に裏付けられた専門性の高い診療を行っており、常に安全・安心・良質な医療が提供できるよう心がけています。一般的に胆膵疾患の手術は難易度が高く、侵襲の比較的大きい手術が多く、繊細で高度な技術を要します。周術期の管理も含めチームで診療しています。

また、他のがんと同様、良性あるいは低悪性膵疾患に対しては腹腔鏡手術を中心とした低侵襲治療も積極的に導入しています。膵切除術においては2023年よりロボット支援下手術も導入しております。当院では専門医によって検査・処置・診断・手術に至るまで適切な医療が提供できるよう心がけています。

 

その他

鼠径ヘルニア

当院では鼠径ヘルニアに対して、日本内視鏡外科学会技術認定医を中心として腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal pre-peritoneal repair;以下TAPP)を主に行っています。腹腔内から脱出部位を確認できるため診断が容易で、反対側のヘルニアも診断可能です。鉗子を用いてヘルニアの穴を修復しメッシュで固定します。TAPPでヘルニアを治療する利点としては術後早期の疼痛が少ないこと、創が小さいこと、早期に社会復帰できることや両側ヘルニアでも同一創での手術が可能なことです。当院では安全で再発の少ない手術を行っております。

また2024年よりロボット支援下鼠径ヘルニア手術も実施できる体制を整えました。

 

消化管穿孔・急性腹症・腹膜炎(胃十二指腸潰瘍穿孔、その他消化管穿孔、胆石症、腸間膜虚血、腸管壊死、虫垂炎、など)

24時間365日、緊急手術に対応

消化管穿孔や壊死はしばしば致命的となります。腹痛、発熱などの症状となって現れ、一刻を争う緊急手術が必要となる場合がほとんどです。当院では緊急手術を含めた救急診療を常時行っています。夜間も消化器外科チームがオンコール体制を整えており、24時間365日患者さんを受け入れております。