PET検査について(Positoron Emission Tomography)
当院で行うPET検査は、正確にはFDG-PET/CT検査といいます。
1)FDG-PET/CT検査とは
18F-FDG(以下FDG)という薬剤を用いたPET/CT検査です。悪性腫瘍でのFDG-PET/CT検査が最も多く行われています。
FDGという薬剤はブドウ糖(グルコース)に18Fという放射性物質を結合させたもので、ブドウ糖と同じように体内の細胞を行き来する性質があります。このため細胞分裂が活発な悪性腫瘍や炎症細胞に集まりやすく、体内のブドウ糖代謝の状態をCTと重ね合わせた画像で見ることができます。
病変の広がりを視覚的に把握することができるため、悪性腫瘍の病期診断、再発の有無の診断などで用いられ、がん診療には欠かせない検査となりつつあります。
2)保険適用疾患・要件
悪性腫瘍 ※早期胃癌を除く |
他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない方 |
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てんかん | 難治性部分てんかんで外科手術が必要とされる方 |
心疾患 | 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る。)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる方 |
大型血管炎(高安動脈炎または巨細胞性動脈炎) | すでに大型血管炎と診断のついている患者さんの、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない場合 |
2018年6月の全国調査では悪性腫瘍でのFDG-PET/CT検査が全体の98%を占めています。
早期胃癌以外で、すでにがん細胞が確認され癌と診断された場合、またはがん細胞の確認はまだだが主治医がほぼ間違いなくがんだと判断した場合や、がん治療後で再発が疑われる場合が、保険診療の対象となります。
3)がん検診
FDG-PET/CT検査は、がん検診としても利用できます。自費での検査になりますが、血縁者にがんが多いなどの理由でがんが心配な方にとって、注射一本で一度に全身のチェックができるため、簡便な方法です。(ただし、すべてのがんが検出されるとは限りません。)
がん検診としての依頼方法は2通りあります。
六甲アイランド病院健診センターを経由する場合
PETを含む健診メニューであるがんドックの申し込みとなります。六甲アイランドにある健診センターで健診を受け、PET/CTのみ当センターに検査に来ていただきます。いくつかのメニューがありますので健診センターのページから選択し、お申し込みください。甲南友の会にご入会のうえ、健診センターで人間ドックをご依頼の場合、割引が受けられます。
かかりつけ医を経由する場合
かかりつけ医の先生から、患者サポートセンターを通じて、「自費」でのPET/CT検査予約を取っていただきます。結果はかかりつけ医にお返しいたします。
4)PET/CT検査の流れ
- 受付
- PETセンターにて簡単な問診
- 着替え
- 検査薬を静脈注射
- 1時間個室ブースで安静に待機
- 20分~30分程度の検査
- (場合によって、30分ほど待機してから再検査)
- 着替え
- 会計
受付から会計まで約2~3時間かかります。
参考:PET/CT検査の流れ
5)PET/CT検査前の注意点
- 前日~検査前は筋肉痛が残るような激しい運動はお控えください。
- 検査前6時間は絶食です。ノンシュガーのガムも禁止です。糖分を含まない水分(水、お茶、ブラックコーヒー)は構いません。
- 検査前にうっかり糖分を取った場合、すぐに当院へご連絡ください。検査の延期やキャンセルの判断をいたします。
SPECT検査について(Single Photon Emission Tomography)
六甲アイランド甲南病院にて行っていたSPECT検査は、2019年10月からは、当センターにて行います。
SPECTとCTが融合したSPECT/CTという機械に替わり、病変の部位の特定が、従来のSPECT装置に比べ容易になります。
従来通り、認知症診断に用いられる脳血流シンチや黒質線条体シンチ(ダットスキャン)、心筋の虚血の状態を見る心筋シンチ、骨転移を調べる骨シンチなど、様々な検査が可能です。