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血液検査

採血室で採取された血液は、次のような検査を行います。

生化学検査

肝機能、腎機能、脂質など、さまざまな項目があります。AST(GOT)やLDHなど、いろいろな臓器に存在する項目もあるので、他の項目とあわせて、どこの臓器の具合が悪いかを判断します。

血液学的検査

ここで言う血液学的検査とは、血液の中に含まれる、赤血球・白血球・血小板といった血球成分の検査(血液一般検査)と、出血した際に活躍する凝固系因子の検査のことを言います。

血液一般検査

赤血球、白血球、血小板の数や、赤血球中に含まれるヘモグロビンの濃度などを検査します。貧血や出血の状態、炎症の状態などが分かります。また、血球成分を顕微鏡で観察することによって、白血球の構成比率や、赤血球・白血球・血小板の形態異常がないかを調べます。

凝固査系検査

血液中には、出血を止める働きをする因子(凝固系)と、止血後に、出血を止める際にできた血栓を溶かす因子(線溶系)があります。さまざまな因子がバランスよく存在し、機能しています。

 

血糖・HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)

血糖値は食事によって、大きく変動しますが、HbA1cは、過去1~2ヵ月の血糖値を反映し、食事の影響を受けません。いずれも、糖尿病の診断、経過観察に必要な検査です。血糖値は、食後何時間で採血を行ったかによって、その結果の見方も変わってきますので、医師に食後何時間に採血をしたかを伝えるように注意してください。

輸血検査

貧血などで、輸血が必要なときのための検査で、血液型の検査も輸血検査のひとつになります。
検査の他に、次のことも行っています。

  1. 輸血に使われる血液製剤の発注、保管、管理業務
  2. 手術時の出血に備えて、自分の血液を貯めておく、自己血の保管管理業務

血沈(けっちん)(赤沈(せきちん))検査

正式には、赤血球沈降速度といいます。
抗凝固剤がはいった血液を放置しておくと、血球成分と血漿(けっしょう)成分に分離していきます。
1時間後、2時間後に何mm血球成分が沈んだかを測定します。体の状態を反映して、血球が沈むスピードが変化します。

リウマチ関連

リウマチ因子(RF)を測定しています。
リウマチ因子は、リウマチ患者の約8割に陽性反応が出ますが、他の膠原病でも約3~5割の方に出るといわれています。まれに健常者でも出ることがあります。

チーム医療としての活動

生化学担当者は、栄養サポートチーム(NST)の一員としてその専門知識を生かし、栄養評価項目の充実と、その栄養指標データの抽出・考察を行うことで入院患者さんの栄養状態改善に努めています。

肝機能、腎機能、脂質など、さまざまな項目があります。AST(GOT)やLDHなど、いろいろな臓器に存在する項目もあるので、他の項目とあわせて、どこの臓器の具合が悪いかを判断します。

主な生化学検査

肝臓・胆道系検査

AST(GOT) 酵素の一種で、心筋・肝臓・骨格筋などに多く存在します。これらの臓器や組織に障害が起こると血液中に増加します。
ALT(GPT) 酵素の一種で、肝臓に多く存在します。主に肝臓に障害が起こると血液中に増加します。
γ-GTP 酵素の一種で、肝臓・腎臓・膵臓などに多く存在します。γ-GTPのみ高値の場合は、アルコール摂取の影響が考えられます。
ALP 酵素の一種で、肝臓・腎臓・小腸・膵臓・骨に多く存在します。これは、年齢によっても異なり、幼児期には成人の3倍ぐらいの高値となります。
総ビリルビン(T-Bil) 肝機能検査のひとつで、黄疸の種類を診断する検査です。肝障害や胆汁の流れが妨げられた場合や、溶血性貧血の場合にも高値になります。
総蛋白(TP) 血清中にある100種類以上の蛋白を総称して総蛋白と言います。肝臓の病気だけでなく、全身の栄養状態を知る指標にもなります。

他に、コリンエステラーゼ(ChE)、アルブミン(Alb)、アンモニア(NH3)などがあります。

膵臓の検査

アミラーゼ(AMY) 唾液腺や膵臓に多く含まれますが、膵炎や膵管閉塞などで高くなります。

心筋、骨格筋の検査

CPK(CK) 心筋や骨格筋など、筋肉に由来する障害を調べる検査です。激しい運動はもちろんのこと、全身マッサージや筋肉注射などでも高値になることがあります。

腎臓・泌尿器系の検査

尿素窒素(BUN) 体内でたんぱく質が分解されてできる老廃物のひとつです。通常は尿中に排出されますが、腎機能が低下すると血液中の濃度が高くなります。
クレアチニン(CRE) 筋肉中のクレアチンが代謝された後の老廃物です。通常は尿中に排出されますが、腎臓のろ過機能が低下すると、血液中の濃度が高くなります。
尿酸(UA) 組織・細胞崩壊の結果生じるプリン塩基の最終代謝産物です。過剰に生産されたり、排泄が低下したりすると、血液中で結晶化し、関節部で炎症を起こして、通風発作を引き起こします。

電解質の検査

ナトリウム(Na)
カリウム(K)
クロール(CI)
体液の浸透圧や酸度とアルカリ度のバランスの異常を調べる検査です。
その中でもカリウムは、神経や筋の興奮性を調節したりする役割もあります。

他に、コリンエステラーゼ(ChE)、アルブミン(Alb)、アンモニア(NH3)などがあります。

全身の状態を把握する検査

総コレステロール(T-CHO) 血液中のコレステロールの総量をさします。年がいくにつれて少しずつ増加し、特に女性は閉経後に増加傾向となります。
HDLコレステロール(HDL-CHO) 善玉コレステロールとも呼ばれ、末梢細胞にたまった余分なLDLコレステロールを引き抜き、肝臓に戻す役割をします。
LDLコレステロール(LDL-CHO) 悪玉コレステロールとも呼ばれ、肝臓で作られたコレステロールを体の末梢まで運ぶ働きをしています。過剰になると動脈硬化なども促進されます。
中性脂肪(TG)(トリグリセライド) 食事から摂る脂肪のほとんどは中性脂肪で、エネルギーとして使われますが、余ると体脂肪などとして蓄積されます。食後4~6時間で最大値となります。

糖尿病の検査

血糖(GLU) 糖尿病の診断、経過観察に必要な検査です。血糖値は、食事によって大きく変動しますので、食後何時間で採血をしたかを医師に伝える必要があります。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) 過去1~2ヶ月の血糖値を反映します。食事の影響を受けません。糖尿病の診断、経過観察に必要な検査です。

貧血の種類を調べる検査

血清鉄(Fe) 血液中でトランスフェリンという輸送蛋白と結合している鉄です。
不飽和鉄結合能(UIBC) 血液中で鉄と結合していない(飽和されていない)トランスフェリンをいい、鉄の予備能力を調べます。

関節リウマチの検査

リウマチ因子(RF) リウマチ患者の約8割に陽性反応が出ますが、他の膠原病でも約3~5割の方にでると言われています。稀に健常者でも出ることがあります。
MMP-3(エム・エム・ピー・スリー) 関節リウマチの症状である関節にある滑膜の炎症や増殖の病態を反映すると言われています。ただし、腎疾患やステロイド服用などでも高値になります。

炎症の検査

CRP 感染や組織障害の場合に細胞から分泌され、血中濃度が高くなります。

主な血液一般検査

赤血球の検査

赤血球は、全身の細胞へ酸素を送り届け、代わりに二酸化炭素を受け取って回収する働きをしています。

赤血球数 赤血球が少なくなると貧血症、多くなると多血症になります。
ヘモグロビン(Hg) 赤血球に含まれる色素量のことで、主に酸素を運びます。
ヘマトクリット(Ht) 血液中に含まれる赤血球の容積の割合を表しています。
赤血球恒数 MCV・MCH・MCHCの3つで貧血診断の指標となります。
網赤血球数(Ret) 骨髄で成熟後、血液中に出てきてすぐの赤血球で、骨髄の造血能力を推測し、貧血など血液疾患の診断や治療効果を見る検査です。

白血球の検査

白血球は、体の中に細菌など異物が侵入してくるとそれを包み込み、白血球自身の中に取り込んで食べて無害化する働きがあります。

白血球数 細菌など異物が体内に入ると数が増えます。また、血液の製造元である骨髄に異常が起こると、急激に増減することもあります。

血小板の検査

血小板は出血をした際に血液を固め、止血をする働きをしています。

血小板数 増えると血管をふさぐ血栓ができやすくなり、逆に減ると血が止まりにくくなります。

血液像の検査

血液を染色して標本を作製し、顕微鏡で観察する検査です。白血球は 好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球の5種類に分類されます。これらの構成比率をみて、病気の診断や経過観察を行います。また、同時に、赤血球・白血球・血小板の形態異常がないかも見ます。

骨髄像の検査

血液検査において、血液疾患等が疑われる場合に、血液の製造元である骨髄液を採取し、その状態を見ます。

主な輸血検査

血液型

血液型には、さまざまな種類がありますが、その中でもよく知られているABO式(A型・B型・O型・AB型)とRh型(Rh+・Rh-)について調べます。どちらも、輸血を行う前に必要な検査です。

 

抗体スクリーニング

赤血球に対する抗体(不規則抗体)があるかないかを調べます。
不規則抗体があると、輸血をする際に副作用を起こす可能性が出てきます。事前に調べておくことにより、安全に輸血を行うことができます。過去に輸血をされた方や、妊娠されたことがある方は、不規則抗体を持っている可能性があります。

 

交差適合試験

クロスマッチとも言います。貧血時の輸血を行うときに、患者さんの血液と血液バック(供血者)の血液とが適合しているかを検査します。

尿検査

腎臓には、ろ過・吸収という働きがあり、体内の老廃物が尿となって排出されます。よって、尿を検査すると、腎臓・尿路系の病気がわかるだけでなく、項目によっては、それ以外の臓器による影響を調べることができます。
尿検査では、蛋白、潜血、糖などがどのぐらい尿中に含まれているかを調べます。健常人では、尿中にはほとんど含まれていません。尿中に蛋白や潜血など、異常がみられた場合は、直接顕微鏡で尿中の成分を見る尿沈渣(にょうちんさ)を行います。
尿検査を行う際は、出始めの尿と最後の尿を捨て、真ん中の中間尿をとるようにお願いします。

尿の色調 普通は黄色ですが、水分摂取量が少ないときや汗をかくと濃い色に、多量の水分をとったときには無色に近づきます。尿に含まれるものによっては濁って見えたり、飲んでいる薬によっては色がついたりすることもあります。
尿のpH 尿がアルカリ性か酸性のどちらに傾いているかを調べます。普通は、弱酸性の6.0ぐらいですが、健康な方でも、動物性食品の過剰摂取では酸性に、植物性食品の過剰摂取ではアルカリ性に傾きます。
尿蛋白 陽性の場合は、主に腎臓の異常が考えられます。運動の後などでは、健康な方にも出ることがあります。
尿潜血 尿の中に赤血球が混じっている状態で、陽性の場合は、主に腎臓や尿管、膀胱などの異常が考えられます。また、尿の中に含まれる赤血球の量がかなり多くなると、目で見ても血尿と分かります。
白血球 陽性の場合は、腎臓、膀胱、尿道などの炎症が考えられます。
亜硝酸塩 細菌によって産出されるため、陽性の場合は細菌がいると考えられます。
尿糖 尿中に含まれるのはブドウ糖ですが、一般的に血糖が160~180mg/dlを超えると尿中に出てきます。個人差があるため、尿糖が出ていても必ず糖尿病にかかっているとは言えず、血液検査で確認する必要があります。
尿ケトン体 体内ではブドウ糖を分解してエネルギーに変えますが、それができない場合は、蛋白や脂肪を分解します。その時に産生されるのがケトン体で、糖尿病のコントロールがしっかりできているかを判定する検査項目のひとつです。
ウロビリノーゲン 健康な人でも尿中にわずかに含まれますが、尿中で増加すると、主に肝機能の異常や溶血性貧血を考えます。逆に、まったく出ない場合は胆道閉塞を考えます。健常人でもお昼すぎに増加する傾向があります。
ビリルビン 血中に停滞すると陽性になるので、閉塞性や肝細胞性の黄疸を考えます。
尿比重 水の重量を1.000として、尿の重量の比を求めます。一般的に、尿量が増えると重は低くなり、尿量が減ると比重が高くなります。
尿沈渣 尿を遠心し、沈んだ成分を顕微鏡で観察します。健康な人でも尿中にわずかに含まれますが、腎臓や尿路系に異常があると、赤血球や白血球をはじめ、腎臓、尿路系の細胞や細菌、結晶などが見えることがあります。

菌検査

炎症が起こっている部位から、痰や便、尿、鼻汁、関節液、胸水・腹水といった体液などの検体を採取し、そこにある菌を調べ、その菌にどんな薬が効くのかを調べていきます。
まず、採取した検体を直接顕微鏡で観察し、細菌の観察を行います(塗抹鏡検)。
次に検体の種類や予測される細菌によって、適切な培地や培地条件を選び、培養します。培養で育った細菌の塊(コロニー)をもとに、細菌の名前を調べます(同定検査)。その後、その細菌に効く薬と効かない薬を調べていきます(感受性検査)。

細菌検査は、菌を培養する期間が必要なため、最終的な結果には、通常約3~4日かかります。特に、結核菌の場合は、発育速度が遅いため、最終報告は約2~4週間かかります。また、必要に応じて、中間報告を行っています。
細菌検査でよく用いられる痰の検査ですが、病気の原因となる細菌を検出するために、唾液成分の少ない痰が望まれます。
当院の細菌検査技師は、認定臨床微生物検査技師資格・感染制御認定臨床微生物検査技師資格(ICMT)を有しています。専門知識を生かし、患者さんが病院内で新たな感染症にうつらないように感染を未然に防ぐ活動など、感染管理業務に従事しており、院内のICT(感染制御)チームとしての活動も行っています。

病理検査

患者さんの適切な治療のためには適切な診断が必要です。
そのために、患者さんの病変の組織や細胞を採取し、その形態を顕微鏡で観察し、病気の発見や診断をします。病理検査の結果(病理診断)は主治医に報告され治療に役立てられます。

主な病理検査

細胞診検査

検査するもの
  • 尿・喀痰・分泌物・胸水・腹水に剥がれ落ちた細胞
  • 婦人科などの粘膜面をこすって採取した細胞
  • 乳腺・甲状腺などの病変部から注射器で採取した細胞

これらの細胞の中に癌などの悪性の細胞がないか、あるいは炎症や良性の変化がないかを細胞検査士が顕微鏡で観察して診断します。
細胞診検査は比較的患者さんに苦痛をあたえずに検査できますので、繰り返し検査を行いやすい利点があります。しかし、細胞が採取できない場合や、良悪判定の難しい場合があり、そのときは組織検査に委ねられます。

組織検査

検査するもの
  • 胃・腸・気管支の内視鏡で採取した組織
  • 乳腺・甲状腺・肝臓・腎臓では、体表から注射針よりちょっと太い針を刺して採取した組織
  • 手術で摘出した組織

採取された病変部は加工されガラス標本になります。その標本を病理専門医が顕微鏡で観察し、細胞形態や組織構築から、病気の診断、病変部の大きさ、治療効果の判定を行ないます。

迅速組織検査

組織検査のひとつです。
手術中に提出された組織を約15分で検査します。執刀医は手術室で病理検査結果を電話で受けて、臓器の切除範囲を決めたり、術式を変更します。できる限り完全な手術をするために重要な検査です。甲南医療センターでは年間約100件行っています。

甲南医療センター・六甲アイランド病院の病理検査も当検査室で行なっています。

 「病理医」って??

病理検査検体の診断や、解剖による死因解明を専門とする医師

上記の病理検査検体の診断や、解剖による死因解明を専門とする医師です。その病理診断をもとに患者さんの病名や治療方針が決定されます。
病理医は患者さんに直接お会いすることは少なくあまり知られていませんが、病理検査検体を通じて日々病気と向かい合っています。

  • 病理検査スタッフ:病理専門医 2名、細胞検査士 2名
  • 学会認定施設:日本病理学会研修認定施設 A