埋伏歯(親知らずなど)
親知らずの生えてくるスペースが不足し、半分埋まったままや傾いてきちんと生えてこない方は、親知らず周囲歯肉に炎症(智歯周囲炎)が生じたり、歯並びに悪影響を与える可能性がありますので、抜歯が勧められます。基本的に外来で局所麻酔下に行いますが、抜歯に対する不安の強い方や複数の歯の同時抜歯を希望される方は、当科に入院(原則2泊3日)のうえ全身麻酔下に行うことも可能です。
全身疾患を有する患者さんの抜歯
高血圧、心臓病、糖尿病、慢性腎臓病などの全身疾患があり、かかりつけ歯科では対応の難しい患者さんに対する抜歯などの治療を行います。血液をサラサラにする抗血栓薬を内服されている患者さんの場合、抜歯後の出血が止まりにくい可能性がありますので、当科に短期入院(原則1泊2日)していただいて抜歯することもあります。
顎や口の中に生じる感染症
顎が腫れて痛みのある蜂窩織炎や顎骨骨髄炎などの炎症性疾患に対し、抗菌薬の投与や切開して膿みを出すなどの消炎処置を行います。また、骨粗鬆症やがん骨転移の治療に用いるビスフォスフォネート製剤やデノスマブ製剤に関連して生じる顎骨壊死にも対応します。
歯や顎の外傷
顎顔面領域の外傷による顎骨骨折や歯の脱臼などに対し、早期に咬み合わせが回復できるよう、手術による顎骨の整復や歯の整復処置を行います。
歯や顎骨に生じる嚢胞
歯の根に膿みの袋ができる歯根嚢胞に対して歯肉を切開して膿みの袋を取り出す歯根嚢胞摘出・歯根端切除や顎骨に生じる大きな嚢胞に対する全身麻酔下の嚢胞摘出術を行います。
顎口腔領域の腫瘍
口腔内や顎骨に発生する腫瘍性疾患に対し、切除手術等の治療を行います。進展した口腔がんに対しては、神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科へ紹介させていただく場合があります。
口腔粘膜疾患
舌、頬粘膜、歯肉に生じる難治性の口内炎、扁平苔癬、白板症などに対し、外科的治療や保存的治療を行います。
顎関節症
口が開きにくい、口をあけると顎が痛むなどの顎関節症に対し、スプリント(マウスピース装着)療法や薬物療法を行います。
周術期口腔機能管理
がんや脳血管疾患、心臓疾患、人工関節置換等の全身麻酔手術を行う患者さんに対し、手術前から口腔機能管理(口腔ケアなど)を実施することにより、手術中の歯の脱落や術後の誤嚥性肺炎・創感染の予防を図ります。また、がんに対する化学療法や放射線治療を行う患者さんに口腔機能管理を実施し、口腔粘膜炎の予防や早期治療を行うことで治療に伴う苦痛を軽減します。
その他
保存困難により抜歯した部位に、親知らずなどの他部位の歯を抜歯して移植する歯牙移植、発音に影響する短縮した舌小帯を切離して延長する手術(舌小帯形成術)、唾石摘出術などを行います。