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腹腔鏡手術
当科では子宮や卵巣の良性腫瘍について出来るだけ低侵襲の腹腔鏡手術を行なっております。体への負担が比較的小さいため入院期間が短縮でき、社会復帰への期間も短くなります。また美容的なメリットもあります。
子宮筋腫
子宮筋腫は産婦人科で頻度の高い良性子宮腫瘍です。子宮筋腫のために子宮全体が大きくなり過多月経や月経痛の原因となります。卵巣ホルモンが筋腫の増大に関与しており働き盛りの女性が好発年齢になります。手術療法として子宮全摘術、または子宮筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術があり、これらは出来る限り腹腔鏡手術を施行しております。この他、粘膜下筋腫に対する子宮鏡下経頸管切除、また偽閉経療法などの薬物療法があります。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は良性のものであっても自覚症状に乏しくて大きくなってから発見されることも多くあります。画像診断で良性が考えられるものは腫瘍が大きくても多くの場合は腹腔鏡手術の対象になります。境界悪性卵巣腫瘍は術前画像診断を充分検討し、病理組織診断に基いた対応を行なっています。
子宮内膜症
子宮内膜症は本来は子宮内にのみ存在する子宮内膜組織が卵巣、腹膜および子宮筋層内などで増殖する疾患です。増悪すれば卵巣腫瘍(卵巣チョコレート嚢胞)となったり、子宮腺筋症となったりします。また骨盤内が強い癒着を起こし凍結骨盤と言われる状況になります。自覚症状として月経困難症と呼ばれる強い月経痛や過多月経を示します。子宮内膜症も卵巣ホルモンにより増悪傾向を示しますので、働き盛りの女性が好発年齢となり生活の質(QOL)を大きく損ねるため、成人女性の約半数が就労している現代において重大な社会的・経済的損失を来しているとされています。本邦での潜在患者は約200〜400万人と推察され、近年の晩婚化少子化のため今後も増加傾向が推察されます。また卵巣チョコレート嚢胞は稀に悪性転化(癌化)することがあります。
当科では子宮内膜症に対し軽症であれば薬物療法を行い、重症症例には腹腔鏡手術により病巣除去、癒着剥離を行なっています。また術後の再発防止にも薬物療法を行なっています。
悪性腫瘍に対する根治手術、その他の手術
当科では日本婦人科腫瘍学会専門医、日本がん治療認定医が在籍し悪性腫瘍に対する根治術を行なっています。手術では適応に応じて、系統だった骨盤内や傍大動脈リンパ節郭清術も施行しております。
悪性腫瘍、絨毛性疾患に対する化学療法、分子標的薬治療
日本婦人科腫瘍学会作成の各癌の治療ガイドラインに従って、悪性腫瘍や絨毛性疾患に対する化学療法を行なっています。また最近の遺伝子検査や分子標的薬の進歩に伴うガイドラインの改正にのっとり、これらの検査および治療を行なっています。
子宮頚癌
主にヒトパピローマウィルス(HPV)が発症に関与しています。子宮癌検診や子宮頸癌ワクチンの普及が予防や早期発見に有効と考えられていますが、本邦では依然両者の普及は進んでいません。根治術として進行期に応じて、単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎性子宮全摘術を施行しております。準広汎子宮全摘術、広汎性子宮全摘術には通常骨盤内リンパ節郭清術も施行しております。放射線療法については、当院に照射施設がないため他院へ紹介しております。
子宮体癌
50歳代および60歳代を好発年齢とする子宮癌で欧米では子宮頸癌より罹患率が高いです。本邦でも近年罹患率が増加し浸潤癌に限って比較すると、すでに子宮頸癌より頻度が高くなっています。日本人の食生活、ライフスタイルの変化とともに今後とも増加すると考えられています。卵巣ホルモンであるエストロゲンに依存し比較的予後良好とされるタイプI型、エストロゲン非依存性で高齢者に多く頻度は低いが予後が比較的悪いとされるタイプII型があります。当科では子宮体癌に対し根治術として進行期、組織型に合わせて、単純子宮全摘術、準広汎性子宮全摘術、広汎性子宮全摘術を施行しております。準広汎性子宮全摘術、広汎性子宮全摘術には通常骨盤内および傍大動脈リンパ節郭清術を施行しております。術後、再発リスクに応じて必要時追加治療として化学療法を施行しております。
卵巣癌および腹膜癌
卵巣癌は自覚症状が乏しく、進行してから発見されることも多く、手術や化学療法に対する難治性を示すことがある悪性腫瘍です。卵巣癌根治術である単純子宮全摘術+両側子宮付属器切除術+大網切除術および組織型によって大網切除術を施行します。通常同時に骨盤内および傍大動脈リンパ節郭清術を施行します。術前や術後に必要に応じて化学療法を施行します。卵巣癌には多数の組織型があり組織型に合致した治療を選択します。また最近の遺伝子検査および分子標的薬の進歩により卵巣癌の治療に分子標的薬がすでに導入され、今後も治療法がさらに変革することが予想されます。腹膜癌は、卵巣癌と発症のメカニズムとして類似性が指摘されており卵巣癌に準じた治療が行われます。
絨毛性疾患
胞状奇胎、侵入奇胎などの絨毛性疾患は妊娠反応を示すホルモンであるhCGを産生する腫瘍で、治療として子宮内容除去術、抗癌剤であるメソトレキセートなどを使った化学療法などを行います。
性器脱(子宮脱など)
加齢や分娩時の骨盤底筋群への負担が原因やリスクファクターと考えられます。子宮脱の程度に合わせ、膣内リング(ペッサリーリング)および子宮脱根治術(膣式単純子宮全摘術+前後膣壁形成術など)、膣閉鎖術を施行しております。
子宮頸部異形成
子宮頸部異形成はヒトパピローマウィルス(HPV)による子宮頸癌の前癌病変と考えられます。子宮頸部細胞診(いわゆる子宮癌検診)で異常があった場合、外来で行なうコルポスコピーという検査で組織診断されます。子宮頸部異形成は軽度、中等度、高度に分類され高度子宮頸部異形成の場合は子宮頸部円錐切除術を施行しております。
更年期障害
女性が50歳前後で閉経に向かいホルモン環境が変化する時期が更年期です。この時期のホルモン環境の変化は誰にでも起こることですが、その変化に一時的についていけず、日常生活に障害を起こすことが更年期障害です。当科では症状に合わせて漢方療法、ホルモン補充療法などを施行しております。
月経前症候群
月経前には体内の水分が比較的増加し月経時の出血となって体内の水分量が減少することを繰り返していますが、体にとってその変化が大きい場合、月経前症候群となって抑うつ、いらだち、不安などの精神的症状あるいは乳房痛、頭痛、手足の浮腫などの身体的症状を示します。精神症状が主体で強い場合は月経前不快気分障害と呼ばれています。治療には当院神経科と連動したカウンセリング、生活指導、薬物療法として漢方療法や低用量ピル、選択的セレトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが検討されます。