診療方針
当科は、2019年10月の甲南医療センター開院に伴い新たに設置された診療科です。
胸部領域の主に肺、縦隔の疾患、外傷に対して、神戸大学医学部附属病院 呼吸器外科と密に連携しながら患者様のニーズに合わせた治療を提供させていただきます。
主要な疾患
- 肺癌、転移性肺腫瘍
- 縦隔腫瘍 (胸腺腫、胸腺癌、奇形腫、神経鞘腫 など)
- 嚢胞性疾患(自然気胸、続発性気胸、巨大肺嚢胞 など)
- 炎症性疾患(膿胸、肺真菌症 など)
病気・検査・治療
肺がん
肺に生じる悪性腫瘍です。喫煙者に多いですが、非喫煙者にも生じます。日本において、悪性腫瘍による死因の第1位となっています。罹患者も年々増加しており、早期発見・早期治療が重要です。
症状
咳、血痰、呼吸困難、胸痛などを呈しますが、無症状で偶発的に発見されることも多いです。
検査
胸部レントゲンや胸部CTで肺がんを疑う影が認められた場合、気管支鏡検査やCTガイド下生検で組織診断を行います。
治療
初期の段階では、外科的治療を行うことで根治を目指すことができます。進行している場合は、手術だけでなく抗がん剤や放射線療法を組み合わせた集学的治療が必要となります。
転移性肺腫瘍
肺以外の臓器に生じた悪性腫瘍が、血流に乗って肺で新たな病巣をつくることで生じます。消化器領域の悪性腫瘍や婦人科領域の悪性腫瘍が原因のことが多いです。可能な限り外科的に切除を行うことで、予後の改善が期待できます。
縦隔腫瘍
縦隔は左右の肺に囲まれた空間で、心臓・食道・気管・大血管などが存在しています。
この縦隔内に生じる腫瘍を縦隔腫瘍といい、胸腺腫、胸腺がん、奇形腫、神経鞘腫などが代表例です。胸部画像で縦隔腫瘍を疑った場合は、基本的には外科的切除が第一選択となります。
気胸
肺は吸った空気をためてガス交換を行う臓器です。肺に穴があくことで、空気が漏れ、肺が虚脱してしまう状態を気胸といいます。原因としては、肺表面に「ブラ」という嚢胞ができ、それが破れることによるものが多いです。気胸に対して、まずは胸腔内にドレーン(管)を入れて脱気することで肺の膨張を促します。肺からの空気漏れが止まらない場合は、手術を行います。
膿胸
胸腔内に膿が溜まった状態です。細菌感染によるものが多く、胸腔ドレナージと抗生剤投与が必要となります。外科的に胸腔内の膿を除去し、胸腔内を洗浄することで早期の治癒が期待できます。
神戸大学医学部附属病院との連携
甲南医療センター 呼吸器外科は、神戸大学医学部附属病院 呼吸器外科と密に連携し、患者さんに質の高い医療を提供いたします。セカンドオピニオンも積極的に受け入れておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。