人間ドック・健診について
自覚症状があらわれにくい、そのような病気は決して少なくありません。生活習慣病や早期がん発見などの予防医療は、3人に1人が65歳以上となる2025年の高齢化社会にとってますます重要になってきています。六甲アイランド甲南病院健診センターでは、生活習慣病の予防のための特定健診、市町村の行うがん検診、労働衛生安全法に基づく定期健診および人間ドックなどの予防医療を積極的に実施しています。
当健診センターは当院の最上階を診察室、検査室、更衣室などに改装し、H21年9月に開設して以来、人間ドックおよび企業検診などを中心として健診業務を行ってきました。令和1年度の健診件数はそれぞれ1171件、1092件。令和2年度はそれぞれ1196件、1331件と増加傾向にあり、早い段階での合計5000件をめざしています。現在のスタッフは医師4名、看護師3名、事務5名です。
業務の現状ですが、生活習慣病対策については血圧の管理から肥満や糖尿病・脂質異常症などを早期に改善して、死亡原因の2位、4位の心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化疾患の発症の予防に重点を置いています。また上腕足首間脈波伝播速度の測定、頚動脈エコーなどで動脈硬化の進行状態を把握し、多くの受検者に生活改善とともに指導しています。がんの早期発見ですが、特に胃がんでは2016年に厚労省が対策型検診で胃X線検査に加えて内視鏡検査を認め、それにより当院の胃内視鏡検査枠も10件/日と増加しました。希望者には鎮静剤を投与しており、多くの方に苦痛なく検査が行えます。婦人科診察は毎日行い、肺癌検診の胸部CT、乳がん検診のマンモグラフィー、腹腔内実質臓器(肝胆膵腎)の超音波検査など整えており、さらにPETの導入により非侵襲的に全身を検索できます。
さて当院健診センターの特徴ですが、総合病院の強みとしてすべての検査や診療科の診察が可能であり、PETは甲南医療センターで施行しています。また受健者が2次受診する理由として、便や尿の潜血が陽性、マンモグラフィーでのカテゴリー判定、ピロリ菌の除菌、心電図の不整脈、PSA高値など多くの診療科にまたがっていますが、全診療科がそろっていることから甲南会グループで速やかに診察と精密検査を受けることができます。他に、六甲ライナーのセンター駅から徒歩3分と利便性がよく、またホテルに近接しているため希望されれば、一泊健診を受けることもできます。健診センターは13階の最上階に位置するため待ち時間に大阪湾の眺望を楽しんでいただけます。
昨今の新型コロナウイルス蔓延のなか、がん検診の受診者数の減少が全国で認められます。感染をおそれ健診受診を控えられる方もおられると思います。一方で健診しないことでがんや脳疾患、心疾患など命にかかわる疾患の発見がおくれてしまう危険性があります。ご自身の健康を保つためぜひとも健診を受けていただければと思います。
当院ではスタッフ一同、万全の感染対策を行いつつ健診業務に励んでおりますので何卒よろしくお願い申しあげます。
六甲アイランド甲南病院 健診センター長
塚本 好彦