地域医療研修を終えて 【NEW】2025.8.1更新
2025年6月研修:研修医2年目 R・H
研修病院
ミルネ診療所(兵庫県丹波市)
研修内容
兵庫県立丹波医療センターおよびミルネ診療所で、初診外来、訪問診療の研修をさせていただきました。主訴・現病歴をはじめとした問診をとり、それらから考え得る鑑別疾患、必要な検査を総合内科の指導医の先生方と相談しながら決定し、帰宅可能なのか、次の外来フォローが必要なのか、入院が必要なのかなどの方針決定までの過程を研修させていただきました。
また外来ではフォローできなくなった方、例えば病院への定期通院が困難になってきた方の訪問診療にも同行しました。急性期病院での治療を終え、自宅退院した後のフォローにおける診察を見学しました。
研修を終えての感想
外来研修が中心でしたが、普段の救急外来とは異なり、主訴が慢性的であることが多く、問診や診療のアプローチの違いを実感しました。特に二次健診で異常を指摘された方の初診外来では、異常値に対して必要な検査を考えるだけでなく、自覚症状のない方に生活習慣の指導を行う難しさと大切さを学びました。また訪問診療では、通院困難な方のご自宅を訪問し、患者さんやご家族との関わり方や、限られた医療資源の中で診療を進める経験ができました。さらに、一次医療機関と二次医療機関の外来診療を両方経験する中で、それぞれの役割や求められる視点の違いを学ぶことができ、非常に充実した1か月となりました。
2025年6月研修:研修医2年目 R・M
研修病院
松前町立松前病院(北海道松前郡)
研修内容
松前町は函館から南へ車で2時間の位置にある人口5700人ほどの港町で、松前病院は地域医療拠点病院としての役割を担っています。救急・初診外来、病棟主治医、学校健診、訪問診療、函館までの搬送、豊富な講義、他の地域医療拠点病院とのオンライン会議などを通し、実践形式で地域医療の現場・実情を学びました。
総合診療医の4名の先生方より、臨床推論・治療方針・手技について細かにご指導いただきました。特に外来では、関節内注射や疣贅の処置などを行い、全身を診察できることの必要性を実感しました。また、担当患者さんの退院・転院調整を通じて、都市部医療機関へのアクセスの難しさや、地域の高齢化などの社会的問題にも触れ、地域医療ならではの葛藤について理解が深まったと感じています。
研修を終えての感想
松前町の皆様の温かさに支えられ続けた1か月間でした。病院では、事務的なことを始め、慣れないことが多くありましたが、医療スタッフの方々に大変親切にご指導いただき、不安を感じることなく診療に当たることができました。
また、事務の方に町内を案内していただいたり、週末には朝市・飲食店や周辺地域へ観光にうかがったりと、研修期間を満喫しました。町内の皆様がいつも気さくに話しかけてくださり地域の温かさを日々実感しましたし、海鮮がとても美味しく何度も感動を覚えました。松前町で研修を実施するにあたり、お世話になった方々に感謝の思いでいっぱいです。
2025年5月研修:研修医2年目 S・S
研修病院
ミルネ診療所(兵庫県丹波市)
研修内容
丹波医療センターでは、1ヶ月の間に外来診療、訪問診療、救急対応を経験させていただきました。外来診療に関しては、ミルネ診療所の初診外来、丹波医療センターの内科初診外来の症例を振り分けていただき、呼び込みから問診・診察・検査オーダー、結果説明や今後の診療方針決定まで一連した流れを経験することができました。また再診での経過フォローも経験させていただき非常に充実した研修になりました。また訪問診療では、終末期の方やADLが低く通院不可能な方のご自宅に伺って最近の変化や不安を聴取し、診察や処方箋の調整やオピオイドの調整などを経験させていただきました。総合内科の先生方からご教授いただくことが多く、問診や診察、検査項目量が必要十分かどうか一症例一症例丁寧に学んでいくことができました。
研修を終えての感想
当院での診療しかまだ経験したことのない私にとって今回の地域医療研修が他病院で経験する初めての診療でした。田植えのために来院数が激減するなど、東灘区とはまた違った患者様の背景があり、地域特異性を感じることができました。診療所の外来では総合病院とは違い医療資源が限られているため、問診や身体診察から多くの情報を得ることの重要性を学びました。訪問診療では、患者様が退院された後の診療を経験することができ、QOLとして一人一人が何を大切にされているのか訪問看護師やご家族と共有し合い、薬剤管理や在宅生活の創意工夫を学ぶことができました。中でも印象的だったのが、卵巣癌の終末期で亡くなる前日に伺った時のことです。ご本人・ご家族ともに死期が近いことを悟りながらも、食事や談笑の喜びを噛み締めていらっしゃりオピオイドが効いているのか穏やかな表情をされていました。当院の緩和ケアを研修した後だったこともあり、病棟と在宅の一貫した診療を学べたことは私にとって非常に良い経験になりました。