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睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)とは睡眠中に息が止まる(無呼吸)、もしくは息が浅くなり(低呼吸)低酸素血症になる病気です。日本国内で推定患者数は300万人と言われています。この病気は2003年6月に新幹線の運転手が居眠り運転をしたことが判明しマスコミに取り上げられたことがきっかけで知られるようになりました。この運転手が高度の肥満があったことから肥満の中年男性に多い病気であるとの認識が広まりましたが決してそうではありません。若年者から高齢者にわたりまた肥満のない人にもいらっしゃいます。男性に多い病気ですが女性にもあります。症状は昼間の耐え難い眠気、会議中に、居眠りをすることが多いことですが、熟睡できない、奥さんから鼾(いびき)をよくかく、息が止まっていると言われる、夜に何回もトイレに行く、朝起きたときのどが渇くなどの症状を訴えられる患者さんもいらっしゃいます。また自覚症状がなく血圧が高く降圧薬を飲んでもなかなか血圧が下がらない人や会社の健診で初めて指摘される方もいらっしゃいます。何年も頭痛に悩まされていたがその原因がSASであった患者さんもいらっしゃいます。睡眠の質が低下することで、意欲が低下しさらに気分の落ち込みを生じうつ病を発症される方もあります。この病気を診断され治療している患者さんは約35万人です。残りの大多数の方は無治療で生活されているのが現状です。

睡眠時無呼吸症候群の原因

この病気の原因は睡眠時に①上気道が閉塞する閉塞性睡眠時無呼吸症候群、②脳からの呼吸刺激が弱くなるために無呼吸になる中枢性無呼吸症候群、さらに③二つを併せ持つ混合型に分類されますが閉塞性睡眠時無呼吸症候群が最も多いとされています。日本人は軽度の肥満でもSASになりやすいとされています。その原因として肥満によるもので舌やのどの周りに脂肪が付着し気道を狭めてしまいます。また欧米人に比べ顎が小さく下顎が後退していることが原因であると言われています。若年者では肥大が気道狭窄の原因になることもあります。また加齢に伴い筋力が低下し特に上気道を拡張させる筋群の低下すると上気道がふさがれ睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。

睡眠時無呼吸症候群の症状

すでに述べたように症状は
1.昼間の眠気
2.熟睡間がない、不眠症がある
3.夜に何度もトイレに行く、朝起きるとのどが渇く
4.鼾をかく、息が止まっていると言われる
5.気分が落ち込む
6.朝頭痛がする
7.集中力がなくなった
以上のような症状もしくは指摘されればSASを疑って下さい。
鼾の原因は気道狭窄であるのでSASの発見のきっかけになります。この病気を放置すると心筋梗塞、脳卒中、心不全、導尿病の発症リスクが正常な人に比べて2.0-4.0倍になるとされています。決して見逃してばならない病気です。

睡眠時無呼吸症候群の診断

診断はPSG(Polysonography:ポリソノグラフィー)という検査をします。このPSGは2種類あり簡易型と精密型です。ます簡易型PSGを自宅で睡眠時に装着していただき大まかなSASの検査をします。この簡易型PSG検査は指に酸素濃度を測定するセンサーをつけていただき胸にももう一つセンサーを付けていただくだけの簡単な検査です。睡眠時の酸素濃度、無呼吸の低程度を計測します。いわばスクリーニング検査です。疑いがあれば病院に1泊していただき精密なPSG検査を行います。この時の入院は夜間の1泊入院となります。

  • 簡易PSG検査(自宅で検査)

    簡易PSG検査(自宅で検査)

  • 精密PSG検査(1泊入院)

    精密PSG検査(1泊入院)

睡眠時無呼吸症候群の治療

下記のような流れでSASを診断しますが中等度以上、AHI(無呼吸低呼吸指数)が簡易PSGで40回/時間以上、精密PSGで20回/時間以上の場合はCPAP(持続的陽圧喚起療法)の保険適応になり治療を開始します。いつまで続けるのか、治ることはあるのかとよく質問されますが基本的には生涯にわたり治療を継続する必要があります。ただ肥満、扁桃肥大が原因のSASの場合は減量したり、扁桃摘出した場合に改善することもあります。また軽症の場合は歯科でマウスピースを作成し夜間装着していただく場合もあります。月に一度SAS外来に通院していただきCPAPの装着がうまくいっているかチェックします。また生活指導も行っています。

 

睡眠時無呼吸症候群 専門外来
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