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手術成功の秘訣は「食事」にあり!消化器外科が実践する周術期栄養管理と早期回復へのアプローチ
消化器外科の手術を受けるにあたって、「手術の前後はいつから食事ができるのだろう?」「退院してから今まで通り食べられるかしら?」と不安を持たれる患者さまやご家族は少なくありません。
胃や大腸、肝臓・胆のう・膵臓といった消化器系器官の手術では、「何を・いつ・どのように食べるか(栄養管理)」が、手術の成功や術後の回復速度、そして退院後の生活品質(QOL)を大きく左右します。
甲南医療センター消化器外科では、安全で質の高い医療を提供するため、手術前からの「周術期栄養管理」と「退院後の食事指導」に力を入れています。今回はその具体的な役割と取り組みをご紹介します。
1. 手術前から勝負は始まっている!「術前栄養管理」の重要性
「絶食して手術に臨む」という従来のイメージとは異なり、現在では「手術前になるべく栄養状態を良好にしておくこと」が推奨されています。
特にがんの治療や消化管の病気では、知らず知らずのうちに体重減少や栄養障害(フレイル・サルコペニアなど)が進行していることがあります。
- 体力のベースアップ: 術前の栄養状態が良好な患者さまほど、手術という大きな侵襲(ダメージ)に耐えやすく、術後の傷の治り(創傷治癒)や感染症予防にすぐれています。術後を見据えた栄養確保を目指し、入院前より栄養相談(外来)も活用します。
- 絶食時間の短縮: 以前は前日夜からの厳しい絶食が一般的でしたが、現在では適切な炭水化物補給(術前経口補水療法など)を行うことで、手術直前の喉の渇きやストレス、術後のインスリン抵抗性を軽減する工夫を行っています。
2. 術後「早期経口摂取」で腸のスイッチをオンにする
「お腹の手術をした後は、何日も絶食が必要では?」と思われるかもしれませんが、最新の術後回復プログラム(ERASなど)に基づき、可能な限り早期からの食事再開を目指します。
- 腸管粘膜の保護と免疫維持: 腸の中に食べ物や栄養が入ることで、腸の粘膜が保護され、体全体の免疫機能が維持されます。
- スムーズな腸管運動の回復: 早めに食事や水分を口から摂ることで、腸の動きが促され、麻痺性イレウス(腸管の麻痺)などの合併症を防ぐことができます。
もちろん、お腹の吻合部(繋ぎ目)の状態や患者さまのお体に合わせて、管理栄養士が調整した安全な食事形態から段階的に進めていきます。
3. 胃切除術など、術式に応じた「退院後の食事指導」
消化器外科の手術では、臓器を切除・再建することによって、手術前と食事の摂り方を変えていただく場合があります。
例えば胃切除術を受けた患者さまの場合、胃の容量が小さくなったり無くなったりすることで、1回に食べられる量が減ったり、食後のめまいや気分不快(ダンピング症候群)が起きやすくなったりします。
当院では、退院後も患者さまがご自宅で安心して食事を楽しめるよう、管理栄養士による手厚い栄養指導(退院指導)を行っています。
- 食事の回数とポーションの工夫: 1日の食事を5〜6回に分けて少量ずつ摂る「分割食」の具体的な進め方をお伝えします。食事量が不足する場合は栄養補助食品の摂り方などを一緒に考えます。
- 栄養バランスと調理のコツ: 消化が良く栄養価の高い食材の選び方、しっかり噛んでゆっくり食べる習慣付け、油分や糖分の摂り方などをアドバイスします。
- ご家族へのサポート: 実際に調理を担当されるご家族にも一緒に説明を聞いていただき、ご家庭での食事作りの不安や悩みに寄り添います。
4.NST(栄養サポートチーム)による専門的なチーム医療
周術期の栄養管理は、消化器外科医だけでなく多職種が連携するNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)がバックアップしています。
- 管理栄養士: 患者さま一人ひとりの栄養状態を評価し、手術前後の必要カロリー計算や具体的な献立・栄養剤の提案を行います。
- 医師・薬剤師: 輸液(点滴)や高カロリー輸液、経管栄養などの成分・投与量を綿密に管理します。
- 看護師・リハビリスタッフ: 実際の食事摂取状況の観察や、栄養を筋肉に変えるための運動療法(リハビリ)と連動させたケアを行います。
【結び】
手術前の「食べる準備」から、術後の「食べるリハビリ」、そして退院後の「無理のない食事管理」まで。食事と栄養は、傷を治し体力を取り戻すための最良の「薬」です。
甲南医療センター消化器外科では、患者さまが一日も早く「美味しく食べる喜び」を取り戻し、安心してご自宅での生活へ戻れるよう、医療チーム一丸となってサポートいたします。栄養や退院後の食事についてご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。




