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骨盤うっ血症候群について

#IVR #下腹部痛 #骨盤痛 #骨盤うっ血症候群 

骨盤うっ血症候群は骨盤静脈の拡張や機能不全を有する女性に生じる慢性骨盤痛として近年知られてきており、ホルモンなどの要因が関与するとも言われています。主な症状としては慢性的な非周期性の骨盤痛や重苦しさであり、長時間の起立した状態で増悪します。また月経困難、排尿困難、会陰部・下肢静脈瘤を伴うこともあります。18~50歳の女性においては慢性骨盤痛の30~40%に関連するとも報告されています。
消化管や子宮・卵巣など、他に痛みの原因となる病気がないことが前提となりますが、超音波検査やCT・MRIといった画像上で卵巣静脈の拡張や静脈逆流が認められた際に骨盤うっ血症候群と診断され、治療の適応となります。

  • 図1

    図1

治療としては漢方などの薬物療法や、IVR(画像下治療)、手術が挙げられますが、日本においては病気の概念や治療法について医療者の間でも認知度が低いため、治療介入の機会は少ないのが現状です。

当院の放射線科・IVRセンターでは薬物療法では痛みのコントロールができない患者様に対してIVR(画像下治療)による低侵襲な治療を提供しています。
具体的には右足の付け根を局所麻酔後、約3mmの細い管(カテーテル)を血管内へ挿入します。X線透視を見ながらカテーテルを両側の卵巣静脈まで進めます。卵巣静脈の造影で機能不全・逆流を来している卵巣静脈を確認した後、液状塞栓物質や金属コイルを用いて塞栓を行います。塞栓後はカテーテルを抜去して穿刺部位を圧迫止血します。止血後は約3時間の安静が必要となります。

  • 図2

    図2

治療後は9割前後の患者様において痛みの改善が得られると報告されています。入院期間は3泊4日を目安としていますが、早期退院希望の際は2泊3日も可能です。慢性的な骨盤痛、下腹部痛でお困りの患者様は、主治医の先生などにお問い合わせください。