外傷による肩関節脱臼は、ラグビー、アメリカンフットボールや柔道などのコンタクトスポ
ーツに多く、前下方脱臼がほとんどです。肩関節は上腕骨と肩甲骨との間の関節で、接触面積が小さく関節包や関節唇という軟部組織に支えられています。一度、肩関節脱臼が生じると多くの場合は、この軟部組織が損傷し元の状態に修復しないため何回も脱臼する反復性脱臼になります。その割合は若年者で高く、20歳以下で初回脱臼を生じた人のうち、2年以内に再脱臼した人は86.7%と報告されています。
近年、関節鏡手術など技術が進歩し、手術加療の方が保存的加療よりも治療成績はよく,重症度にあわせて術式を選択することで再脱臼のリスクは低下しスポーツのパフォーマンスも向上することが知られています。スポーツをされている方は、手術加療で長期離脱となることから、病院を受診せず検査すら受けられない方がおられますが、脱臼を繰り返すうちに骨の形状が悪化する場合もありますので、きちんと現状を把握し手術が必要か、必要であれば手術するのはいつが適切な時期などを専門医と相談することをおすすめします。