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人生百年時代に向けての『心臓リハビリテーション』のすすめ

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心不全と聞いて

心不全や心筋梗塞といった言葉を聞いて、皆さんはどういうイメージをお持ちでしょうか。心不全は弁膜症や不整脈など何らかの原因で心臓の血液ポンプ機能が低下してしまい、息切れやむくみが出て、やがて亡くなる病気です。心筋梗塞は心臓の一部が栄養している血管が詰まることで壊死を起こす病気で、突然死を引き起こしたりします。
もし今あなたの周りにそういった心臓の病気の方がおられたら、つい『動いたらあかんで』『無理したらあかんで』と声をかけたりしていませんか?
ではなぜあなたがそう思うのでしょう。
一方、心臓に病気をお持ちの患者さん。自分が動けなくなっているのはこの心臓の病気のせいだと勝手に思い込んで、あきらめていませんか?
そうなのです。心臓の病気に対する考え方。誤解を生じていることが意外と多いのです。心臓の病気はもちろん怖い病気です。だからといって、心臓の病気の患者さんがすべて寝たきりで全く動けない状態になっているでしょうか。『心臓の病気』、すなわち『動けない』ではありません。上手にコントロールすれば、びっくりするような心臓のポンプ機能が低下して悪い方でも日常生活を送れている方がおられます。
また、心臓の病気は当然治療することも必要ですが、実はそれ以上に、事前に悪くなることを予防していくことも極めて大事なのですが、あまり重要視されていません。
現在心臓に病気をお持ちの方でも、上手にご自身の病気の知識をもった上で、運動をすることができれば、あなたのこれからの人生がもっと楽しくなってきます。うつむいてばかりいる必要はありません。それを実現できるのが心臓リハビリテーションです。

心臓リハビリにおける教育の重要性

当たり前ですが、誰もがどんな運動でもやっていいというわけではありません。運動をするためにはそれぞれの心臓の病気がどんな病気で、どの程度の運動がふさわしいのかを勉強する必要があります。
また、何度も再発を繰り返す経験をお持ちの方もおられるでしょう。 ではなぜ再発をするのか、次の再発を予防するにはどうすればよいか。
これには患者さん御自身、そして周りの方々がご自身の心臓の病気を良く知ること、これが大切です。当院の心臓リハビリテーションでは心臓病の教育に重点を置いています。
心臓の病気で緊急入院をされた方は甲南医療センターで開始、あらためて心臓の病気をお持ちで心臓リハビリテーションを導入される方は六甲アイランド甲南病院で最初に教育入院(5~12日間)をしていただいています。

教育入院とこころのケア

教育入院の場合、なぜこんなに元気なのに入院をしないといけないのかとよく言われます。反対の立場であれば気持ちもよくわかります。
なぜ教育入院が必要なのか。大事なことは、心臓の病気だからこそ、最初に病気の知識をしっかり獲得した上でリハビリに参加をする。今後安全に心臓リハビリを行っていくために、さらに御自宅や通院で皆さんが心臓リハビリを続けていただくためにも、最初の教育が極めて重要だということをスタッフがよく知っているからです。
患者さんのどこからが無理な運動か、どこまで動いていいのかをしっかり評価をした上で、安全に心臓リハビリを行うことで、みなさんの元気度がアップしていく。すごくいいことだと思いませんか?
また、こころのケアも心臓リハビリでは大切にしています。病気をすると気分がふさぎがちになります。皆さんの気持ちをしっかり聞くことも心臓リハビリのスタッフの役割です。リハビリに通うことが楽しいなと思っていただける心臓リハビリテーションを目指しています。

さらなる心臓リハビリテーションの発展を

心臓リハビリテーションは正直まだまだ知名度が低いです。残念ながら医療の専門家でも知らないことが多々見られ、心臓リハビリテーション側の努力も必要です。
あなたが心臓の病気をお持ちで、もし興味がわけば、一度かかりつけの先生にご相談してみてください。また、六甲アイランド甲南病院では火曜日、木曜日の循環器外来、甲南医療センターでは水曜日午後に水谷外来がありますので、そちらでのご相談もお引き受けします。
人生百年時代。あなたが心臓の病気を抱えるかもしれません。もちろん、カテーテルによる治療や薬の調整も必要です。そんな時に『あれだめ』『これだめ』のダメだしが多い医療を、『ここまでできますよ』『ちょうどいいですね』の、気持ちも向上できる医療へと転換させていく。これが循環器診療の未来型でもある心臓リハビリテーションの世界です。
心臓リハビリテーションについては、甲南医療センター、六甲アイランド甲南病院で連携しながら対応させていただきます。お気軽にお問い合わせください。