肝胆膵外科について
肝がん・胆嚢がん・胆管がん・膵がんなどの消化器の難治がんに対して手術を中心に治療する外科チーム
肝胆膵外科について簡単に紹介します。この診療科では、肝がん・胆嚢がん・胆管がん・膵がんなどの消化器の難治がんに対して手術を中心に治療する外科です。肝臓、胆道、膵臓の手術は消化器の中でも難易度が高く、スタッフと設備の完備した病院で心技一体の外科チームの下での手術が肝心です。甲南医療センターの外科は、神戸大学肝胆膵外科や兵庫県立がんセンター消化器外科などで肝胆膵外科手術の技術をみがいた医師がそろっています。
肝胆膵外科高難度手術と専門医の現状について
本年度の高度技術専門医は、兵庫県内にわずか8名
肝胆膵外科高難度手術は膵頭十二指腸切除や肝切除などの術式が中心で、最近これらの手術は多数を扱う病院施設ほど死亡率が低く、その反対に数が限られた病院では死亡率が高いと言われています。
日本の肝胆膵外科学会は「高難度の手術をより安全、確実に行う外科医を育てる」ことを目的にこの高度技能医制度を2008年に開始しました。高度技能専門医は、知識、判断力、問題解決力に加えて高い手術能力を求められ、評価として手術ビデオによる実技試験を受けます。日本の専門医制度の中では大変狭き門であり、2016年の時点で兵庫県内にわずか8名しかいません。私自身は神戸大学肝胆膵外科で研鑽を積み高難度手術を術者もしくは第一助手として多数経験し、書類審査と技能評価によって本年度高度技能専門医として認定されました。
より高品質で安心・安全な診療を
適応のある患者さんに安全・確実な低侵襲手術
本年1月より新体制となり、肝胆膵外科高難度手術をこの5か月間ですでに17件実施しました。また本年6月より腹腔鏡下肝部分切除術、腹腔鏡下尾側膵切除術を実施する体制が整い、適応のある患者さんに安全・確実な低侵襲手術を行います。
兵庫県内には肝胆膵外科修練施設(高難度手術を少なくとも年間30例以上行っている施設)が8施設しかありません。しかも、神戸市の東部地域には修練施設がありません。東灘区の人口からみると、これまで地域内で肝胆膵外科診療が十分に行え
ていなかったのではないかと考えられます。
肝胆膵外科高度技能指導医2名、高度技能専門医1名が在籍
甲南医療センターは神戸大学との新たな連携強化により阪神地域の基幹病院として地域医療へ貢献し、来年度には修練施設の認定を目指しています。現在、肝胆膵外科高度技能指導医2名(具院長、千堂診療部長)
と高度技能専門医1名(後藤)が在籍し県下でも有数の人材がそろった施設と自負しております。大学病院ほど規模は大きくありませんが、逆に患者さんに近く、より高品質で安心・安全な診療を実践したいと考えます。臨床試験や一部の特殊な治療(粒子線治療や肝癌に対する経皮的肝灌流化学療法:PIHP)などが必要な場合は神戸大学とも連携し最善の治療が提供できるのが甲南医療センターの強みです。
チーム医療について
診療部のみならず看護部、薬剤部、中央放射線部、中央検査部・病理部、リハビリテーション部、臨床工学室、栄養管理室などのスタッフとも緊密に連携し安全・安心な周術期管理を行い、肝胆膵外科の拠点病院の一つとして地域の皆様への貢献することを目指し頑張ります。どうぞよろしくお願いします。