日本人女性の乳癌罹患数は毎年増加し続けており、最新の統計では、年間97,142人（2019年国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報）となっています。これは女性約９人に１人が乳がんになることを示していますが、全国的に早期発見のための乳がん検診が進み、早期に見つかる乳がんの数が増えていることも関与していると言われています。

現在、国の指針による乳がん検診（対策型一次検診）は、40歳以上の女性が対象で、問診と乳房Ｘ線検査（マンモグラフィ）が基本になっています。乳がん検診受診率は徐々に高まってきてはいるものの、未だ対象年齢女性の５０％に達せず（2019年全国平均４7.4％）、兵庫県は全国的に見てもいつもワースト１０に入っています。甲南医療センターでは、これまで乳がん検診の啓発活動を続けてきており、当院乳腺外科は、一次検診要精査の方を対象にした二次検診（精密検査）実施施設の役割を担ってきました。この度、六甲アイランド甲南病院が神戸市乳がん検診指定施設として認定されたため、40歳以上の偶数歳の女性の方はどなたでも、そちらで対策型一次検診を安心して受けていただける上、もし要精査となった方は、これまで以上に速やかに、当院で二次検診を受けていただけるようになりました。

また、乳がん検診はマンモグラフィ検査が国際基準ですが、乳腺の密度が高い40代の検診精度が低くなるという課題があり、近年、マンモグラフィ検査に「超音波検査」を組み合わせたり、単独で用いたりする方法を任意で採用しているところもあります（任意型検診）。約7万6千人の40代の女性を、マンモグラフィ検査を受けたグループと、マンモグラフィ検査に超音波検査を加えたグループに無作為に分けて比較する大規模な臨床研究の結果、がんの発見率が、超音波検査を加えたグループの方が1.５倍高かったという報告があります。しかし、死亡率を減少させる効果はまだ認められておらず、その検証のために引き続き調査が必要とされています。このように、マンモグラフィ検査に超音波検査を組み合わせたり、超音波検査単独で行ったりする任意型検診は、六甲アイランド甲南病院健診センターで受けることができます。そして、もしこちらでも要精査となった方は、速やかに、甲南医療センター乳腺外科で精密検査を受けていただくことができます。

同じ乳がん検診でも、神戸市乳がん検診（対策型一次検診）と任意型検診とは窓口と申し込み、受診方法、費用が異なりますので、下記をよく参考にして、お申し込みください。

神戸市乳がん検診：対策型一次検診

個人検診：任意型検診