近年がんの種類だけではなく遺伝子変異などの特徴に合わせて抗がん薬が選択されるようになり、肺がん、大腸がん、乳がんなど一部のがんでは特定のいくつかの遺伝子を調べてその結果に基づいて治療選択が行われてきました。さらに2019年6月からは主にがんの組織を用いて多数(100以上)の遺伝子を同時に検査するがん遺伝子パネル検査がすべての固形がんにおいて保険診療でも行うことができるようになりました。がん遺伝子パネル検査で遺伝子の変化が見つかった場合、その変化に対して効果が期待できる薬剤をデータベースから検索し専門家による会議(エキスパートパネル)にて患者さんそれぞれのがんに適した薬剤があるかを検討しその結果に基づいて主治医が治療方針を提案します。検査により非常に効果がある治療法が見つかることもある反面、治療につながる情報が得られないこともあります(現時点では治療に結びついた患者さんの割合は10%程度)。ただ遺伝子変化に対応した薬剤開発が活発に進められており、今後恩恵を受けられる患者さんが増加することが期待されます。