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『緑内障禁忌薬剤』知っていますか?

#禁忌 #抗コリン #閉鎖隅角緑内障 #緑内障 

緑内障禁忌薬剤について

薬局窓口で「緑内障の治療をうけていませんか?」あるいは「どのような緑内障かご存知ですか?」との質問を受けられた方もおられるかと思います。これは一部の薬剤が緑内障の患者さんが使用してはいけいない薬、つまり『緑内障禁忌薬剤』になっているからです。緑内障禁忌薬剤は様々な治療薬(表1)に含まれていますが、いずれの薬剤も抗コリン作用とよばれる副交感神経を刺激するアセチルコリンの抑制作用を有しています。抗コリン作用をもつ薬剤は瞳孔を広げる散瞳効果があり、この散瞳が『閉塞隅角緑内障』とよばれるタイプの緑内障の病状を悪化させます。

 

  • 表1 緑内障禁忌薬剤がふくまれる薬剤の分類

     

閉塞隅角緑内障とは

緑内障は先進国では失明原因の眼疾患の1位となっています。本邦では40歳以上の約5%の方が緑内障を罹病していると考えられています。緑内障は病型によって分類されますが各々の罹病率は開放隅角緑内障(3.9%)、閉塞隅角緑内障(0.6%)、続発緑内障(0.5%)、発達緑内障(0.0%)となります。『閉塞隅角緑内障』は眼圧調整に重要な排水口である『シュレム管』がある隅角とよばれる部位が狭窄、閉塞していることが主因の緑内障です。散瞳すると隅角はさらに狭くなるために(図1)閉塞隅角緑内障の方では急激な眼圧上昇を引き起こす可能性があります。なかでも急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)とよばれる急激な眼圧上昇をおこす状態になると眼痛、頭痛、嘔気をともない視機能を失う危険性があります。

  • 図1 散瞳による隅角の形状変化

    図1 散瞳による隅角の形状変化

閉塞隅角緑内障の予防と治療について

緑内障禁忌薬剤に気を付ける必要のある方は緑内障の患者さんの約12%になります。診療をすでにうけておられる閉塞隅角緑内障の方には眼科医師から禁忌薬剤の注意がなされているはずです。禁忌薬剤の注意をうけていなければご自身は他の分類の緑内障であると考えてください。一方、いままで眼科診療をうけておられない方で、表1の分類に含まれる新薬の使用を始められてから眼痛や一過性の視力低下を自覚される方は
閉塞隅角緑内障に罹病している可能性があるので眼科診察をうけることをお考え下さい。緑内障禁忌薬剤にはどうして服用が必要な薬剤が含まれています。このような場合は早期に白内障手術をうけられて閉塞隅角を開放する治療選択肢があります。水晶体を眼内レンズにかえることにより隅角は開大し(図2)、散瞳しても眼圧上昇を起こす可能性は極めて低くなります。

  • 図2 白内障手術前後の隅角形状変化

    図2 白内障手術前後の隅角形状変化