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甲南医療センターの泌尿器科

#骨シンチ #前立腺生検 #前立腺がん 

甲南医療センターの泌尿器科の体制について

泌尿器科は現在常勤医師2名体制で診療にあたっています。2021年4月より桃園に代わり今井が常勤医として勤務しています。なお、田中も今まで通り勤務しています。

前立腺癌に対する方針(診断)

今回は当院の前立腺癌に対する診断について書きます。前立腺は膀胱の下にあり、その中を尿道が通っています(図1)。精液の成分を作る臓器で、男性特有の臓器です。前立腺癌は罹患率の高い癌ですが、治療をしなくても生涯無症状の場合もあります。

①PSA:前立腺特異抗原

初期の前立腺癌は無症状の場合が多いため、腫瘍マーカー(PSA)の値によりスクリーニングします。PSA検査は簡単な血液検査で検診や人間ドック、かかりつけ医の採血でも行えます。正常値は4未満ですが、70歳未満の比較的若い方では3.53.0未満を正常値とする場合もあります。異常値を指摘されたらできるだけ早く泌尿器科を受診してください。

②泌尿器科受診

PSA高値となる原因は前立腺癌以外に前立腺肥大症、前立腺炎、排尿障害、射精の影響などがあります。泌尿器科初診時は問診、尿検査、腹部超音波検査(エコー)、直腸診(図1)などを行います。また、PSAの再検査や、前立腺肥大症に対する投薬治療を行う場合もあります。

図1 前立腺の位置と直腸診

図1 前立腺の位置と直腸診

③MRI

前立腺癌の有無を調べる最も有用な画像検査です。前立腺癌の確定診断はできませんが、生検の要否の判断や前立腺癌の診断後に治療方針を決定するために必須の検査です。当院では最新の3T MRIを導入していますので、より鮮明な画像が得られます。検査時に造影剤を使用する場合もあり、外来で行う予約検査です。

④前立腺生検(図2)

前立腺癌の確定診断に必要な検査です。先の検査で医師が必要と判断した場合に生検を勧めます。肛門から超音波プローベを入れ、直腸を通して前立腺の位置を確認し、生検針を12か所に刺して組織を採取します。
当院では基本的に月曜か水曜日に1泊入院で行っています。組織結果が出るまでに約2週間かかります。

図2 前立腺生検

図2 前立腺生検

⑤胸腹部単純CT、骨シンチ

前立腺癌の確定診断後に行う転移の有無を調べる画像検査です。前立腺癌は骨やリンパ節、肺などに転移しやすいためこれらの検査を行います。治療方針を決定するために先のMRIと同様に必須の検査です。外来で行う予約検査です。

 

以上の検査結果と年齢、全身状態、患者さんの希望をふまえて前立腺癌に対する治療方針を決定します。治療法についてはまた別の機会に書きます。甲南医療センターは東灘区で唯一の前立腺生検を安全に行える施設です。最新の機器を使用して正確な診断が可能となっています。