腫瘍血管をAI(人工知能)で自動追跡
当院IVRセンターの腹部・脳神経用血管撮影装置はIVR-CTと呼ばれる最新装置で、16列ガントリー型CTがIVR2の部屋に併設されています。
さらに血管撮影装置に加えてコーンビームCTという機能があり、その中には撮影後に腫瘍血管をAI(人工知能)で自動的に検出し、表示するソフトが内蔵されています(Embolization Guidance®、Siemens社)。
腹部の画像下に行う治療(IVR)では腫瘍に対する化学塞栓療法が中心ですが、その際に力を発揮します。
Embolization Guidanceとは
血管撮影で腫瘍が濃染します。複雑に分岐した血管のさらに細かく分岐した血管のどれが濃染する腫瘍を栄養する血管かの判断は、専門的知識と豊かな経験を持つ術者でも迷うことがあり、治療時間が延長する原因となります。複雑で数本の栄養血管がある場合や、突飛な部位から分岐する場合でも瞬時に血管をカラー表示し、線で追跡表示してくれます(図1、2)。例えれば、迷路の中で迷わず瞬時に正解の道を教えてくれる魔法使いのようなものです。
このソフトのおかげで、腫瘍血管に超選択的に到達する時間は劇的に短縮しました。患者さんにとっても、手術時間が短く、放射線被曝も減少し、治療効果の向上にも役立ちとても有用な装置です。いまや、各X線機器メーカーはこのソフトの開発にしのぎを削っています。現在兵庫県では2台しかこの機能を有する装置は稼働していません。
今回は放射線科・IVRセンターの最新機能の一部を紹介しました。