『最新のEUS装置(OLYMPUS製)』を導入しました。
甲南医療センターでは最新のEUS装置(OLYMPUS GF -UE260、GF UCT260、EU-ME2 PREMIERPLUS)を導入し、肝胆膵領域を中心に幅広い疾患の早期発見と確定診断に努めています。また、甲南医療センター消化器病センターは六甲アイランド甲南病院、神戸大学医学部附属病院と連携し、チーム医療を行っております。もし、胆膵疾患や粘膜下腫瘍の精査でお困りになられた症例などありましたらいつでも気兼ねなくご紹介頂ければ幸いです。
超音波内視鏡検査(EUS)とは
CTより高い腫瘤描出能や質的診断能を有し、検査は日帰り。
超音波内視鏡検査はその名の通り、超音波装置を内視鏡の先端につけて、消化管の内腔から近接する臓器を観察する検査のことです。通常の体表から行う超音波検査と比較して腹壁や腹腔の脂肪や骨、消化管の内腔の空気などによるエコーの減衰を受けにくく、消化管に近接している臓器(主に胆道や膵臓)の詳細な情報を得ることができます。
現在、臨床症状や血液生化学検査で胆膵疾患が疑われる患者様に対しては、腹部の超音波検査や腹部のCT、MRCPなどの検査が行われることが般的ですが、2cm以下の小さな膵癌(TS1膵癌)の検出が非常に難しいことが問題となっています。その点、今回導入した超音波内視鏡(EUS)は非常に高い空間分解能を有することから、小さな膵癌(TS1膵癌)に対してはCTより高い腫瘤描出能や質的診断能を有することが明らかになってきています。膵癌診療を行う上で最重要かつ必須の検査となってきています。検査は上部消化管内視鏡検査と同様に鎮静剤を使用しながら日帰りで行える検査であることから、膵癌を疑う間接所見がある患者さんに対しては積極的に行われるようになってきています。
超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)とは
前述した超音波内視鏡(EUS)を利用して胃や十二指腸などの消化管内から針を刺して近接する臓器(膵臓、胆管、リンパ節、腹水など)から組織をとる検査のことです。特に膵腫瘤の精査を行う場合、これまではERCP検査による病理学的検査を行っていましたが膵炎のリスクや診断能の低さが問題になるケースが多々ありました。その点EUS-FNAは膵腫瘤に直接針を刺し検体を採取することにより、膵癌の診断の感度は80~97%、特異度は82~100%と良好な成績が報告されています。EUS-FNAにより正確な病理診断が得られることにより、経過観察可能か手術が必要かをより正確に判断できるようになりました。また、当院では膵腫瘍以外にも消化管の粘膜下腫瘍(SMT)に対してもEUS-FNAによる診断を積極的に行っております。
このような患者さんがおられたら、いつでもご紹介ください!
- 初発の糖尿病患者や突然の血糖コントロール悪化症例の膵精査
- 腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)上昇
- 膵管拡張や膵酵素上昇など膵癌を疑う間接所見あり
- 2cmを超える大きさの消化管粘膜下腫瘍(SMT)