がんの三大療法の一つである手術療法は、がんの治療法の中で最も根治が期待できる治療法です。
開腹手術
一般的に、がんの病巣と目に見えないがん細胞が散らばっているかもしれない周りの組織や、転移している可能性のあるリンパ節を含めて一緒に取り除きます。検査ではわからないごく小さな転移(微小転移)がなく、完全に切除できれば体内からがんを消して完治することができます。しかし、目に見えないがん細胞が手術の範囲を越えて散らばっていて、全て取り除くことができなければがん細胞は増殖し、再発します。また、がん細胞がリンパや血液にのって手術の範囲を越えたリンパ節や肝臓、肺、骨などの他臓器に転移していると再発します。このような進行したがんに対しては手術療法だけでは限界で、化学療法や放射線療法を組み合わせて治療を行うことがあります。手術療法は最も根治が期待でる一方で、体にメスを入れるため傷の治癒や体力の回復にある程度時間がかかります。また、切除した部位によっては臓器や体の機能が損なわれます。
腹腔鏡・胸腔鏡下手術
最近では症例によっては切除する範囲をできるだけ最小限にとどめたり(縮小手術)、腹腔鏡・胸腔鏡といった内視鏡の一種を用いた手術が行われ、体への負担が少ない低侵襲な手術が普及してます。開腹手術に比べて傷が小さく美容的にも優れ、傷の痛みが少ないので術後の回復が早く、入院期間が短縮できて早期に社会復帰できます。
その他の手術療法
手術療法にはがんの完治を目指した根治手術以外にも、がんによる症状をとるために行う緩和手術(姑息手術)があります。緩和手術(姑息手術)は、がんの狭窄による通過障害や持続する出血などの症状を改善するためや苦痛をとるために行われる手術で、QOL(生活の質)の改善を目的とした手術です。