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がんと静脈血栓塞栓症

#静脈血栓塞栓症 #抗凝固療法 #がん 

日本人の死因の第一位はがんです。我が国では二人に一人がその生涯でがんになりますが、治療の進歩は目覚ましいものがあり5年生存率は大きく改善しています。治療成績が向上する中で、がんに関連する合併症のマネージメントが重要となってきています。重篤な転機をたどる可能性がある合併症の一つに静脈血栓塞栓症があります。
静脈栓塞栓症は血管の中で血の固まりができて血管が詰まってしまう病気です。血の固まり(血栓)は下肢の静脈にできやすく、深部静脈血栓症といわれます。この血栓が血流に乗って肺動脈に詰まると肺塞栓症となり息が苦しくなったりします。

がん関連静脈血栓塞栓症は、非がん患者さんと比較して有意に発症頻度が高く、更に増加傾向にあります。発症の原因はがんそのものによる影響以外に原疾患に伴う血液凝固異常、栄養障害、治療(手術、薬物療法)、治療による長期臥床などが知られています。

治療は抗凝固療法が中心となります。血をサラサラにする薬であるワルファリンや直接経口凝固薬(DOAC)を用います。

抗凝固療法の副作用として出血があります。時に重篤な出血を起こす場合があります。抗凝固薬であるアピキサバンは静脈血栓症の治療薬として保険適応があり広く使用されている薬剤です。

しかし、日本人においては海外での報告よりも出血のリスクが高い可能性が指摘されています。腫瘍・血液内科では神戸大学腫瘍・血液内科が行っている日本人における減量アピキサバン投与の安全性と有効性を評価する臨床研究に参加しています。