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子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)について

#UAE #子宮動脈塞栓術 #子宮筋腫 

子宮筋腫とは

子宮筋腫は女性の4人に1人がかかる一般的な良性腫瘍です。無症状であれば治療の必要はなく、通常は閉経とともに縮小していきます。一方で大きくなると腹痛、月経時の出血増加、頻尿、腹部膨満などの症状を引き起こすことがあります。治療法としては手術が一般的ですが、近年では切らずに治す治療として子宮動脈塞栓術(UAE)も可能となっています。

 

子宮動脈塞栓術(Uterine Artery Embolization:UAE)とは

子宮筋腫を栄養する子宮の血管(子宮動脈)をつめて筋腫を縮小させる治療法であり、1995年にフランスで初めて報告された比較的新しい治療です。欧米では子宮筋腫に対する低侵襲な治療法として確立されています。日本では2014年4月より保険適応となりました。

当院ではカテーテル治療を専門とする放射線科医がX線透視装置を用いて治療を行います。
具体的には右足の付け根を局所麻酔後、約2mmの細い管(カテーテル)を血管内へ挿入します。X線透視を見ながらカテーテルを両側の子宮動脈まで進め、球状塞栓物質といわれるアクリル系の均一な粒子を注入して血管をつめます。
治療後はカテーテルを抜去して穿刺部位を圧迫止血します。止血後は約4時間の安静が必要となります。

 

図 ※画像引用元:IVRナビ(日本化薬株式会社HP)

 

UAEのメリットや治療効果

局所麻酔下の治療であり、傷はほとんど残りません。入院期間も平均5日と短期間です。筋腫の数が多くとも一度に治療可能であり、子宮を残すことができます。
治療後、筋腫による症状は80~90%改善するといわれています。筋腫は数ヶ月かけて徐々に縮小していき、平均50~60%の縮小が得られます。

 

デメリットや合併症/副作用

筋腫が再増大し、症状が再燃することがあります。長期的には10-20%の患者さんで症状が再発したり、再治療が必要となるといわれています。
また子宮を残すことができる反面、治療後も筋腫が残存するために悪性腫瘍が混在していないか、定期的に経過観察が必要となります。

 

UAEに伴う合併症/副作用としては以下のものが挙げられます。
・治療後の痛みや嘔気、嘔吐

治療中から治療後6~12時間くらい持続します。点滴の鎮痛剤で痛みを制御します。

・感染症

術後感染症が 1~2%の確率で発症し、多くは抗生物質などで保存的に治療できますが、まれに子宮全摘術などの外科的手術が必要なこともあります。

・卵巣機能低下

塞栓物質が卵巣側に流れ、術後に無月経や卵巣機能不全が生じることがあります。永久的な無月経(閉経)になる確率は45歳以下で2~3%、45歳以上では約8%と報告されています。

 

UAEの対象になる方

不正性器出血や強い月経痛など症状を伴う子宮筋腫を有する方。

 

UAEの対象にならない方

  1. 妊娠の可能性がある、もしくは妊娠中の方 (将来妊娠希望がある方も原則は適応外です)。
  2. 子宮または卵巣に悪性腫瘍が疑われる方。
  3. 子宮や卵巣、泌尿器系など骨盤内に感染症のある方。
  4. ヨード造影剤アレルギーや腎機能低下のある方。

 

受診~入院・治療の流れ

① 受診

産婦人科もしくは放射線科の外来にお問い合わせください。
産婦人科と放射線科の両方の外来を受診し、治療の説明を行います。

② 検査

MRIなどの術前検査を行い、UAEが可能かを判断します。場合によっては他治療をお勧めすることがあります。

③ 入院
  • 1日目 入院オリエンテーション
    2日目 朝から絶食、治療(UAE)を行います(約2時間)。夕方には歩行、食事、入浴可能です。
    3日目以降 食事・行動制限はありません。症状や術後の状態をみながら4~6日目に退院予定となります。

入院費について

保険診療の対象であり、3割負担の方で15~20万円前後となります。
自己負担額が一定の金額を超えた場合は「高額療養費制度」による負担軽減措置を受けることが可能です。