泌尿器科は現在常勤医師2名体制で診療にあたっています。泌尿器科で治療する疾患は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の4種類となります。それぞれの疾患に対し内科的および外科的治療を泌尿器科で行います。
- 尿路結石(腎尿管結石、膀胱結石など)
- 泌尿器悪性腫瘍(膀胱がん、前立腺がん、腎がんなど)
- 排尿障害(前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱など)
- 尿路感染症(急性腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎など)
尿路結石に対する治療方針
今回は当院の腎尿管結石に対する治療について書きます。結石の存在する臓器により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼びます(図1)。このうち、腰背部の強烈な痛み(疝痛発作)を伴う結石は尿管結石で、腎結石が尿管内に下降することによって尿の流れを妨げて、腎盂が拡張する事(水腎症)によって疼痛が生じます。また、細菌感染を伴えば結石性腎盂腎炎として1週間以上の入院治療を要します。
尿管結石の主な治療法は以下の4種類です。
- 自然排石を期待した投薬治療(長径8~10mm程度の結石)
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
- 内視鏡治療(経尿道的砕石術、経皮的砕石術)
- 開腹手術(切石術)
このうち、④の開腹手術は現在ほとんど行われません。結石の位置や大きさ、患者さんの希望をふまえて治療法を決定します。また、長径10mm以上の腎結石も将来尿管結石となり、自然排石できない可能性が高いため治療対象となります。
当院の結石治療機器
- 体外衝撃波結石破砕装置(ESWL):1980年にESWLを開発したドルニエ社の最高級機種であるGEMINIを泌尿器科外来に設置しています(図2)。体外から水の袋を通して衝撃波を送り込み、結石を粉砕する低侵襲治療です。座薬や注射の鎮痛剤を使用して、1時間程度の治療時間で終了します。基本的に1泊2日の入院で治療しています。
- 経尿道的腎尿管結石砕石術(TUL、f-TUL):尿道から膀胱、尿管、腎盂へと内視鏡を結石の位置まで逆行性に進め、直視下に結石を粉砕、抽出する手術です。当科ではオリンパス社のP7、V3と呼ばれる最新の軟性尿管腎盂鏡(図3)と大画面の4Kモニター(図4)を導入し、より鮮明な視野で安全な治療を行っています。砕石する装置は主にホルミウムレーザーで、モーゼス技術を備えたルミナス社のPulse120Hを導入しています(図5)。手術室で主に全身麻酔下に行い、約30分~2時間程度の手術時間で終了します。入院期間は約5日です。
- その他の結石治療機器:硬性・軟性膀胱鏡、硬性腎盂鏡、硬性尿管鏡、シングルユース軟性尿管腎盂鏡、圧搾空気破砕システム、超音波破砕システムなどを備えています。
甲南医療センターは東灘区で唯一の尿路結石に対する外科的治療ができる施設です。上記の治療機器を駆使して、すべての尿路結石に対して安全で確実な治療が可能となっています。