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消化器内科よりPTEG・POEM・POETのご紹介

#POET #POEM #PTEG #内視鏡 

甲南医療センター消化器内科では、内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)を用いたがんの早期発見や早期治療(ESDなど)に日々取り組んでいます。また、最近では患者さんを悩ませる「がん以外の病気」に対しても、安全で負担の少ない様々な治療を導入しています。以下にご紹介する3つの処置は、いずれも東灘区に限らず県内でも実施可能な施設はごくわずかですが、対象となる患者さんにとっては非常に有用なものであり、是非皆様に広くお知らせしたいと思います。

 

経皮経食道胃管挿入術(percutaneous trans-esophageal gastro-tubing:PTEG)について

PTEGとは首の付け根から食道を通じて胃に細いチューブを入れる方法です。①栄養と②減圧(胃や小腸に溜まった消化液を体外に出すこと)の2種類の目的があります。

①口から食事を摂取できなくなった場合に鼻から胃に管を入れたり(経鼻胃管)、胃瘻を造設することがありますが、胃切除後の方や解剖学的な胃の位置、様々な条件により胃瘻を造設できない場合もあります。胃瘻が造設できない場合に有効なのがPTEGです。

②また癌がお腹の中に広がってしまい(癌性腹膜炎)、胃や小腸に消化液が溜まってしまった(腸閉塞)患者さんに対してもPTEGは非常に有効です。多くの方でお粥や流動食(茶碗蒸し、プリンなど)の摂取が可能になります(摂取後にシリンジを用いて吸引する必要があります)。

透視下で内視鏡(胃カメラ)、エコーを使用してチューブを留置します。造設時間は平均で30分程度です。
PTEGを実施可能な施設は、神戸市内にはごく少数しかありません。

a)栄養剤を注入する際にはチューブを接続しますが、取り外すと非常にコンパクトです
b)普段はスカーフを巻いていらっしゃいます

 

こんな言葉を聞きました

『鼻の管が抜けてすっきりしたわー』『久しぶりに水を飲んだらほんとにおいしかった。鼻の管は飲み込もうとするとのどに当たって痛かったから、飲みたくても飲めへんかった』『こんなに楽になるんやったら、もっと早くに入れてもろといたらよかった』(個人の感想です)

鼻に管が入った状態が長期に続くことは非常に辛いものです。PTEGによって苦痛が和らぐ可能性があります。
どうぞお気軽にご相談ください。

 

経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy: POEM)について

食道アカラシアなどの食道運動異常の患者さんは、つかえ感や胸痛、嘔吐などの症状がなかなか改善せず、長期に渡り辛い思いをされる場合があります。異常をきたしている食道の筋層を切開することで、食事をスムーズに摂取できるようにする内視鏡治療がPOEMです。
当院では2017年9月より関西で2番目にPOEMを導入いたしました。神戸大学、昭和大学で術者として十分な経験を積んだ内視鏡医がPOEMを施行しており、良好な治療成績を保ち患者さんに大変満足いただいております。神戸大学病院と連携し、厳密な診断のうえ治療に取り組んでいます。

 

筋層を切開することで、下部食道における通過が大幅に改善しています.

 

経口内視鏡的腫瘍核出術(per-oral endoscopic tumor resection:POET)について

POETとは、食道や食道胃接合部、胃噴門部の粘膜下腫瘍を摘出する新しい低侵襲な内視鏡手術です。


食道の粘膜下腫瘍の多くは良性であり経過観察が基本ですが、サイズが大きいものは食物の通過障害をきたすため切除対象となります。
これまで切除が必要な食道粘膜下腫瘍に対しては、外科的な手術が行われてきました。近年、上記POEMを応用した経口内視鏡的腫瘍核出術(per-oral endoscopic tumor resection :POET)が開発され、有用性と安全性が報告されています。利点としては体表面を傷つけることがなく、外科手術より大幅に身体への負担が少ないこと、早期に食事開始が可能であること、術後の狭窄リスク(狭くなり食物の通過が障害される可能性)が極めて低いことが挙げられます。
また、胃の粘膜下腫瘍に対しては、多くの場合負担の少ない腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)が有用です。しかし、食道胃接合部や噴門部に限っては、手術中の操作性の悪さや術後狭窄が問題になることがあります。これらの部位の腫瘍に対しては、POETの方が安全確実に治療できる場合があります。
当院ではLECS、POET、あるいはその他の術式、いずれが適切か、内科外科で十分に協議したうえで最適な治療法を選択するようにしています。
POETに関しては、神戸市・兵庫県だけでなく関西全体においても施行可能な病院はまだほとんどありません。甲南医療センターではESDやPOEMの経験を活かし、対象となる患者様には十分なご説明のうえ臨床研究としてPOETを実施しています。治療方針にお困りの際には、是非ともご相談ください。

  1. a)噴門部の粘膜下腫瘍、4cm大。LECSでは術後狭窄リスクが高く、POETで切除。分割せず回収可能でした。
  2. b)食道内腔を圧迫(食事の通り道を邪魔)する3cm大の粘膜下腫瘍(黄色矢頭)、病理では平滑筋種の診断。
  3. c)POETにより損傷なくきれいに腫瘍を核出することが可能でした。
  4. d)術後3ヶ月での内視鏡。創部はきれいに治り狭窄もありません。