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リンパ浮腫という疾患をご存知ですか?

リンパ管は、血液を介して身体へ染みわたった体液を心臓に戻す経路で、水分やタンパク質を一日で約2〜3リットル運ぶといわれています。しかし、なんらかの障害によりリンパ管の機能が低下し心臓まで運びきれない部分がでると、これが腕や足にたまり、リンパ浮腫と呼ばれるむくみ(浮腫)となります。
うまれつきリンパ管の機能障害がある一次性(特発性)リンパ浮腫の方もいますが、乳がんや子宮がんなどでリンパを一緒にとる手術をした後に発症する二次性リンパ浮腫が多数を占めます。

 

リンパ浮腫になると、腕や足がむくみ太くなるだけでなく、蜂窩織炎といってリンパのたまった腕や足の細菌感染を繰り返して起こしやすくなります。

 

リンパ浮腫の予防と治療ではリンパの流れをよくするマッサージや特殊な包帯などでの圧迫による保存的治療がまず行われますが、それだけでは症状がよくならない方も多くみられます。

 

われわれ形成外科では最近、リンパ浮腫の治療に顕微鏡を用いて微細な手術をするマイクロサージャリーの技術を応用した治療を開始しています。リンパ管を静脈につないで、滞っているリンパ液をショートカットさせて流してあげる治療です。

 

一般的なマイクロサージャリーでは径1~2mm以上の血管等を細い糸でぬってつなげるのですが、リンパ浮腫の場合はおもに径が1mm未満のリンパ管と細静脈を吻合するためスーパーマイクロサージャリーとも呼ばれます。術前後の保存的治療と組み合わせることで、効果が期待できます。

 

リンパ浮腫でお悩みのかた、リンパ浮腫かどうかわからないけれど、腕や足のむくみでお困りのかたは形成外科をぜひ受診ください。

 

  • 顕微鏡下でリンパ管と細静脈を吻合している様子