慢性中耳炎などで鼓膜に穴(穿孔:せんこう といいます)があり、耳漏(耳だれ)・難聴などの症状に悩んでおられませんか? 鼓膜穿孔には従来鼓室形成術や鼓膜形成術などの手術を行なってきました。最近リティンパ®を用いた鼓膜再生療法を導入しました。この治療は鼓膜の再生を促進するトランスフェルミン(遺伝子組み換え)製剤と、薬を浸み込ませて鼓膜の孔をふさぐゼラチンスポンジを用いて行います。模式図です。
従来の鼓室形成術や鼓膜形成術のように耳の後ろを切開して組織をとる必要がなく、日帰りで局所麻酔下に行い、術後3~4週で鼓膜を確認します。手術の流れを図に示しました。
費用は3割負担で約2万円程度と鼓膜形成術より負担が少なくなっています。一度の治療で鼓膜が閉鎖しない時には4回まで保険診療として施行することが可能ですが、1回目で70%程度の閉鎖率が報告されています。
手術後は鼓膜に圧力をかけないようにすることが重要です。以下の注意点を医師が許可するまで継続していただきます。
①鼻をかまない。
②鼻をすすらない。
③くしゃみ・咳・あくびはしてもよいですが、手で口をふさがないようにしてください。
④入浴時には綿球を耳に軽く入れて、お湯が入らないようにしてください。入浴後は綿球をとってください。
⑤治療中の耳には補聴器をしないでください。
⑥耳の中を綿棒などで触らないでください。
⑦飛行機・高層エレベーターなど気圧が大きく変化する乗り物はできるだけ避けてください。
⑧水泳以外のスポーツ、飲酒は可能です。
ご興味のある方はお気軽に受診してください。月火木の午前11時半まで受付をしております。
※写真提供 ノーベルファーマ株式会社