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滲出型加齢黄斑変性に対する抗血管内皮増殖因子抗体治療について

#抗血管内皮増殖因子抗体治療 #滲出型加齢黄斑変性 

滲出型加齢黄斑変性とは

滲出型加齢黄斑変性は視機能に重要な網膜の中心部(黄斑部)に病的血管(脈絡膜新生血管)が発生して進行性に視機能を低下させる眼疾患です。加齢、喫煙、食生活、紫外線などが危険因子になり、本邦では50歳以上の有病率は1.5%と推測されています。残念なことに失明原因としては緑内障、糖尿病網膜、網膜色素変性に続いて多いと考えられています。一旦、視機能が低下すると回復が難しいために早期発見、早期治療が原則になります。

抗血管内皮増殖因子剤治療

滲出型加齢黄斑変性の治療法としては病的血管の成長の抑制、消退を目的とした抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体の眼内投与が第一選択になります。投与時に感染リスク等がありますので当センターでは予約制で手術室内で白内障手術に準じた清潔操作で投与を行います。入院等は必要なく、投与前後も通常通り生活できますが、投与前から感染予防のための抗生剤点眼と、投与後の眼底検診が必要です。当センターでは通院の負担軽減のために投与直後の検診は紹介いただいた医療機関に依頼しています。

  • 抗血管内皮増殖因子剤治療によって退縮した脈絡膜新生血管 A)投与前

    抗血管内皮増殖因子剤治療によって退縮した脈絡膜新生血管 A)投与前

  • 抗血管内皮増殖因子剤治療によって退縮した脈絡膜新生血管 B)投与後

    抗血管内皮増殖因子剤治療によって退縮した脈絡膜新生血管 B)投与後

抗血管内皮増殖因子剤の投与スケジュール

病状によりますが滲出型加齢黄斑変性は抗血管内皮増殖因子剤治療による数年間の治療と経過観察が必要となります。そのうえ抗血管内皮増殖因子剤は高額でもありますので時間的、経済的にも治療を受けられる方に負担を強いる治療法です。投与スケジュールとしては病状の悪化毎に投与をおこなうリアクティブ投与法と病状にかかわらずに投与時期を決定しておき予防的に投与するプロアクティブ投与法があります。多くの研究報告では視機能を守るためには後者のプロアクティブ投与法が有効とされています。近年では負担を減らしつつも視機能を守るために病状の悪化がなければ投与期間を延長していくプロアクティブ投与法が広く用いられるようになっています。

  • 抗血管内皮増殖因子剤治療の投与スケジュール例

    抗血管内皮増殖因子剤治療の投与スケジュール例

 

最後に

抗血管内皮増殖因子剤治療は負担の大きい治療法ですが現時点では滲出型加齢黄斑変性から視機能を守るためには最も有効な治療法です。治療法や投与スケジュール等に関して疑問があれば遠慮なく主治医に相談してください。