今回は2つご紹介させていただきます。
医療に関するニュースと乳腺外科医のつぶやきです。参考にしていただければありがたいです。
乳腺外科関連のニュース
マンモグラフィ機器ですが、甲南医療センターになって2019年10月より現在のトモシンセシス技術搭載の機器に更新されています。いままで判然としなかった病変がトモシンセシスにより更に描出しやすくなり、診断精度が向上することが期待されています。
遺伝性乳癌卵巣がんについてです。外来では乳癌卵巣がん家族歴のある人についての拾い上げを行い、家族歴を有する人では特に遺伝性乳癌の可能性を考えて治療を行っております。現在当院では遺伝カウンセラーがいないため、神戸大学と連携して遺伝カウンセリングにも取り組んでいます。BRCA陽性の再発乳癌患者さまにはPARP阻害剤であるオラパリブが適応となっており、今後さらに充実した医療を腫瘍内科と協力して提供してまいります。
当院で乳腺専門医は1人ですが、多くのスタッフがチーム医療として関わっています。また乳がんの初期治療から再発や進行がんの治療、心理的側面のケア、緩和医療まで様々な段階の患者さまの声を吸い上げてより良い治療を行っていくべくチーム医療を推進しております。
乳がんの治療では個別化治療、すなわち「遺伝子や環境、ライフスタイルといった個人の多様性に合わせた、個別化治療」を行っていくことが大切です。
また技術革新により、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析は、研究のみならず、患者の診断・治療といった診療への応用がひろがってきています。そして、人工知能を含めた進展著しい情報通信技術を用い、ゲノム 情報を含めた大量の医療情報を効率的に研究で活用することにより、いよいよゲノム変異を標的とした「がんの撲滅」に人類の手が届くところまで来ているといわれています。 今後様々な薬剤が開発認可されてより的確な治療法が選択されて乳がん死亡がゼロになる日が来ることが予感されます。
ベテラン乳腺外科医のつぶやき
医療の技術、進歩は日進月歩で急速に進んでいます。
しかし人間は様々な個性の人がいて、われわれはその人間を診ています。同じ目線に立って患者さんの気持ちになることが医療者には求められています。意味のない人生なんてありません。皆、他の誰にも代われない大切な何かを持っています。人生を「意味あるもの」にしていこう、その気持ちを患者さんと共有して病気を乗り越えていくお手伝いをしていく気持ちで、毎日診察しています。またそれが自分のつとめと思って努力しております。
人生はやり直しができることも多いのです。失敗しても絶対挽回できる、いや挽回してやると思うことで病気も克服できると信じます。わたしは患者さんからいろいろなことを学んでいます。特別に恵まれたい、特別に報われたいと、「特別なこと」しか感謝できないという人生はさびしいものです。私もC型肝炎という病気にかかったことがあり、そのときは悩みました。しかし病気を克服して今は命いただいていること、そのことが感謝です。また「負けない!」と口癖で自分によく言っています。「負けたくない」これこそが自分が生きる原動力になるのではないでしょうか。
眼を閉じたときに皆さんの心の中に浮かぶのは誰でしょうか?家族、恋人、それとも友人ですか?一番愛する者のように他を大切にする気持ち、他を助けたい気持ち、他とともにいたい気持ち、そこから自分の行動は始まります。「すべての命に希望ある未来を」これが私のモットーです。