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脳神経外科/未破裂脳動脈瘤治療について

#脳動脈瘤コイル塞栓術 #開頭脳動脈瘤クリッピング術 #脳神経外科 #未破裂脳動脈瘤治療 

一般に、動脈瘤から出血することを動脈瘤破裂と呼びます。

破裂脳動脈瘤はくも膜下出血をきたし、現代においてもなお致死率の高い疾患です。破裂する前の脳動脈瘤を未破裂脳動脈瘤と呼びますが、日本では脳ドックなどの普及により脳動脈瘤は偶然に発見される機会が多く、その際に未破裂脳動脈瘤の治療を行うか、または経過観察するかはこれまでも延々と議論されてきました。

以前から未破裂脳動脈瘤の破裂率を推測するパラメータは多数ありましたが、多くは欧米からのデータであり、精度に問題がありました。ちなみに統計的に欧米人に比べて日本人は約3倍も脳動脈瘤の破裂率が高いです。

2012年に「日本人の未破裂脳動脈瘤の破裂率予測に関する悉皆調査の結果(UCAS-japan)」が世界的に有名な医学誌であるNew England Journal of Medicine (NEJM)に報告され、重要な指標の一つとなっています。これによりサイズや部位による個々の脳動脈瘤の破裂率が示されました。例えば、好発部位である前交通動脈瘤では7mm以下であれば年間破裂率0.7-0.9%であり 7-24mmであれば同2-5%、さらに25mm以上であれば同40%などと推測されます。さらに、これまでのデータを統合して作成されたPHASESスコアなどの予測モデルを用いて、破裂率の概算的な予測を行い治療方針の指標としています。すなわち、『推測される脳動脈瘤の自然歴(破裂リスク)と治療のリスクを天秤に掛けて治療方針を決定する』ということです。

また、最近の研究では脳血管の数値流体力学解析(CFD)などを用いた脳動脈瘤破裂率予測やある種の腸内細菌と脳動脈瘤破裂の関係など種々の観点から研究が進行中です。

治療は開頭脳動脈瘤クリッピング術脳動脈瘤コイル塞栓術を選択しますが、いずれの方法においても当院で高い安全性のもとに治療可能です。

経過観察を行う場合でも、禁煙や高血圧を主とした生活指導や基礎疾患の管理を行いながら、適切な画像検査を用いた経過観察が大切です。偶然見つかった脳動脈瘤は是非脳神経外科へご受診ご紹介ください。