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消化器内科より「小腸カプセル内視鏡検査」のご紹介

#消化器内科 #カプセル内視鏡 #小腸 

甲南医療センター消化器内科では、内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)を用いたがんの早期発見や早期治療(ESDなど)に日々取り組んでいます。また、患者さんを悩ませる「がん以外の病気」に対しても、安全で負担の少ない様々な検査・治療を導入しています。対象となる患者さんにとって非常に有用なものであり、是非皆様に広くお知らせしたいと思います。今回は小腸カプセル内視鏡検査のご紹介です。

 

小腸の働きと異常

小腸は胃と大腸の間に存在する6-7mの管腔臓器で、食べた物が通過し、消化吸収されるところです。胃や大腸と同じく、小腸にもびらん・潰瘍や腫瘍ができて出血し、下血や貧血の原因になっていることがあります。小腸の炎症は発熱や腹痛の原因になり、栄養が消化吸収できないと下痢や体重減少が起こります。
胃カメラや大腸カメラで原因がわからなかった出血や腹痛などの原因が小腸の検査で見つかる可能性があります。

 

小腸カプセル内視鏡検査

小腸は口からも肛門からも遠くて、従来の長い管状の内視鏡では到達できる範囲が限られており、全小腸を観察することが困難でしたが、2000年に発表された小腸用カプセル内視鏡は、口から飲み込めば消化管の蠕動で運ばれていくので、全小腸の画像を撮影することが可能になりました。しかも、入院不要で、日常生活を送りながら検査ができます。日本でも2007年10月から小腸カプセル内視鏡検査が保険適用となり、小腸疾患の診断が大きく進歩しました。問診や身体診察、血液検査や各種画像検査などを行い、小腸疾患が疑われる方が対象です。

カプセル内視鏡は長さ約26mm×幅約11mmのカプセル型の内視鏡で、LEDフラッシュランプ、CCDカメラ、無線装置が内蔵されています。7~8時間で約5万枚の画像を撮影し、腹部に装着したデータレコーダーに無線で転送します。検査終了後にこれらの画像をコンピューターに取り込んで解析し、医師が診断します。カプセル内視鏡は使い捨て夕イプで、排便時に自然に排出されます。


小腸カプセル内視鏡検査で診断可能な疾患には、
①小腸のびらん・潰瘍(感染性、薬剤性、炎症性腸疾患によるものなどを含む)、②小腸腫瘍(良性のポリープ、がん、リンパ腫など)、③血管性病変(血管異形成)、④小腸憩室、⑤全身性疾患に伴う小腸病変(膠原病、血管炎、アミロイドーシスなど)、などがあります。
小腸カプセル内視鏡検査で小腸に異常が指摘された場合は、状態に応じて精査・治療を行います。ダブルバルーン小腸内視鏡検査を用いた精査・治療を行うこともあります。

 

メッセージ

近年、小腸の検査方法が進歩して、小腸の異常が発見される機会も増えています。原因不明の消化管出血は、小腸カプセル内視鏡検査の良い適応です。抗血栓療法や消炎鎮痛剤服用による小腸粘膜障害(びらん・潰瘍)は微小なものも含めると半数以上の患者さんに生じているという報告があります。小腸のがんは胃がんや大腸がんのように頻度は高くありませんが、原発性消化管がんの数%が小腸にできると報告されています。また、小腸カプセル内視鏡検査は炎症の起こっている小腸を少ない負担で検査するのに優れており、診断だけでなく治療中の経過観察にも用いられています。下血、貧血、発熱、腹痛、下痢、体重減少など、胃カメラや大腸カメラをしたけれど原因のわからない困った症状が続いている方はぜひご相談ください。