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造影剤を使わない灌流MRI画像(ASL; arterial spin labeling)

#ASL画像 #Arterial Spin Labeling #てんかん重積発作 #てんかん #脳神経内科 

当院脳神経内科では2022年4月19日にご報告(掲載記事へはこちら)したとおり脳神経外科と協力して脳卒中診療に力を入れていますが、ついで関わることが多いのが「てんかん重積発作」を含めた意識障害の患者さんです。てんかんの診断には病歴聴取と脳波検査が重要になりますが、脳波検査は平日昼間にしか行うことができません。そこで有用な検査がMRI検査です。MRI検査はご存じのとおり24時間365日いつでも行える検査です。

てんかん発作を起こしている脳は興奮しているため酸素需要が非常に高まっており、酸素を運搬している血液の流れが亢進しています。この血液の流れを画像にしたものが灌流画像と呼ばれるものです。通常灌流画像は造影剤を体内に注射しないと撮像できませんが、今回紹介するASL(arterial spin labeling)画像では造影剤の投与が必要ありません。原理は、造影剤を投与するかわりに体外から頸動脈にラジオ波を与え頸動脈内の血液の磁化を変化させます。磁化の変化した血液が脳内に入ると造影剤と同じように信号変化として画像化できるというものです。
以下に実際の画像を提示します。

正確な診断のためには詳細な病歴聴取や脳波検査との組み合わせが必要ですが、夜間休日の脳波検査の行えない時には診断の目星をつけるのに非常に重宝します。またASL画像は造影剤を使わないため繰り返し行いやすい撮像法ですので診断だけでなく治療効果判定にも使えます。

実際の症例;ASL画像にて左前頭葉が過灌流(赤い色)を示しています。その後行った脳波で左前頭部に焦点を有するてんかん性異常波を認めました。抗てんかん薬で治療を行い、症状が改善したあとにもう一度ASL画像を撮像すると同部位の過灌流は消失していました。