通常,呼吸は口から気道を通って,肺の中に入っていますが,気道の先には肺胞と呼ばれる小さな袋があり,肺はこの肺胞が無数に集まってできています(①).
この肺胞の袋の周りには毛細血管が張り巡っており(②),この血管と肺胞の壁の間でガス交換が行われています(③).このガス交換が行われている肺胞の外側の部分(肺胞壁)を間質と呼びます.
一般的に肺炎と呼ばれるのは細菌感染によるもので,肺胞内に炎症が起こります.これに対して,間質性肺炎は間質に炎症と線維化が起こり,肺が硬くなり,縮んでいきます.
症状は動いた時の息切れや空咳などがあります.
間質性肺炎といっても,種類があり,原因や進行の速度,様式は異なります.原因が不明なものから薬剤やリウマチなどの膠原病が背景にあるものがあり,
また経過も緩やかに呼吸機能が悪化する方もいれば,日にち単位で急激に呼吸機能が悪化する方や,繰り返し急性増悪を繰り返しながら呼吸機能が悪化していく方もいます.
原因や間質性肺炎の種類,経過によっても治療方針は変わってきます.また,合併症として,肺癌や気胸(肺に穴が開いて肺がしぼむ病気),肺高血圧が起こりやすいと言われています.そのため,間質性肺炎が疑われた際には,原因を調べたり,定期的に悪化がないか確認していくことが望ましいです.
間質性肺炎が疑われる方は遠慮なく受診ください.
間質性肺炎に関して、当センターの呼吸器内科の杉本裕史先生が、この度、内科診断学に関する書籍に翻訳で参加しました!
Chapter 47(間質性肺疾患)を担当しています。併せてご案内いたします。
販売書籍名:フレームワークで考える内科診断 (Frameworks for Internal medicine) |Andre M. Mansoor (著), 田中竜馬 (翻訳)